春三番まで吹き荒れて、もうそこまで桜の咲くシーズンが到来しそうだが、東京湾では何やら異変が起きている。イシモチがようやく本格化してきた。ちょっと下品な強いアタリなので、本紙では「冬のブルブル大王」とネーミングしたが、これでは季節が違ってくる。

 身を切るような冷たい風の吹く中、25号のオモリを底まで落として、仕掛けをたるませて→張る…そして、またたるませて→張る! こんなアクションで釣れるのがイシモチだ。

 そのアタリの瞬間がやや下品なほど振動する。サオがマッサージ機になったんじゃないか、というような衝撃。シロギスの小気味の良い鋭さはない。タコボウズ記者は「冬のブルブル大王」とニックネームを付けたが、一向に定着する気配はない。寒くもないし。

 それでもいい。釣りに興味のある方、しかも未経験者には本当にオススメだ。ちゃんとオモリを着底できさえすれば必ず釣れます。

 今シーズンは出足が遅い。例年なら前年の12月ぐらいから顔をみせるのに今シーズンは最近になって、数とサイズがそろってきた。釣り方もオモリが一番下になる胴付きオモリの仕掛けなので、初心者でも簡単に釣れちゃうのだ。

 新安浦「長谷川丸」の岩瀬正紀船長は「そうね、アタリは、やぼったいね。でも、そのドンくさいのが好きって人もいるしね。分かりやすいからいいじゃんね。下品な魚みたいになってるけど、食べたら上品な白身だもんね。実力はある魚なんだけどねぇ」と悔しがってみせた。

 攻める水深は18メートルの浅場から60メートルのちょっと深いエリアまでまちまち。それだけ数多く分布しているから、釣れるチャンスも広がってくる。ハリにアオイソメを5センチぐらいに切って、複数垂らす。大相撲の土俵の上にぶら下がっている「房(ふさ)」に似ていることから、このエサの付け方を「房掛け」と呼んでいる。

 誘い続けてもダメですからね。「たるませて→張る」の直後に「止める」というアクションも入れてほしい。イシモチに食わせるチャンスを与えてあげないと、ネ。大丈夫、釣れますから。タコボウズ記者が保証します。もし、釣れなかったら岩瀬船長にSOSを出してください。きっとなんとかしてくれます。

 よし、さあ、行ってみようか、新安浦港に。冬の…いや「春風を呼ぶブルブル大王」がお待ちしてます。【寺沢卓】