明日1日から関東近郊の渓流では釣り解禁となる。日刊釣りペン・クラブの渓流釣りのレジェンド相吉孝顕さんに主要河川の状況を調査してもらった。初心者やビギナーでも解禁直後なら各漁協が放流もしているため、ちょっと寒いかもしれないが、思わぬ釣果は得られそうだ。静岡・狩野川上流の穴場の現場を訪れてみた。

 総延長約46キロ。伊豆半島の天城山を源流とする狩野川は、アユだけではなくヤマメ、アマゴ、イワナなどの渓流釣りでも人気の河川だ。静岡県ではほとんどが海に向かって川が流れるため、南、西、東に流れていく。ところが狩野川だけが、富士山に向かって北上する川になる。「日本一の山を目指す川」というだけでロマンが広がっていく。

 1年を通して暖かさに恵まれる伊豆半島。上流までダムもなく、また多くの淵も点在する貴重な水系で、魚が潜んでいるポイントと探し歩くには絶好と言えよう。

 狩野川漁協では、例年の通り今年も解禁直前にアマゴの成魚放流を予定しているという。予定通りであれば、27日と本日28日に魚を放すとみられる。楽しみだ。

 解禁当初はこの成魚がターゲットとなる。期待の持てる釣り場としては、本流では実績のある宮田橋上下から殿淵、雲金橋がお勧めであろう。支流では大見川の冷川を推したい。

 そして、場所としてはあまり知られていないが、私の大本命は、上流の湯ケ島方面。西平橋周辺や世古峡から上流の猫越川や国士峠に絡む長野川などが面白い。

 この周辺を釣る時には地域の共同温泉浴場「河鹿(かじか)の湯」(一般も300円で入浴可能)の前にある温泉民宿「しきや」(伊豆市湯ケ島1652、【電話】0558・85・1377)のご主人、栗田安英さんがとても釣り場に詳しい。気さくな人柄なので、宿泊(1泊2食で8700円)を絡めて、ゆっくり情報入手するのもいいだろう。

 栗田さんは「宿の目の前でも釣れるねぇ。最近はなぜか放流もしてねぇのにイワナまで釣れちゃう。ここから上流に上がっていけばヤマメも狙える」と話し「秋のころにはサクラマスも掛かるんだよ。漁期が閉じるまで気は抜けないよ」と笑顔をみせた。

 さあ、渓流の春です。都心からも東名沼津インターから伊豆縦貫道と伊豆中央道を経由すれば、すぐ着いちゃう大自然。みなさんの中に眠っている野性の感性を取り戻して、磨きあげる絶好のチャンスですよ。(相吉孝顕)