4月29日からスタートした内房・富津「みや川丸」のマダコ。サオを使わず、イシガニを縛ったテンヤ仕掛けで底をトントンとノックする釣法だ。初心者でも粘り強く誘っていれば「ぐにゅーん」とした重さを体感できる。

 富津港は、今、マダコで盛り上がっている。4月29日から開幕し「みや川丸」では5月3日に最大で3・8キロの超特大サイズが飛び出した。しかも、この大物は、初挑戦の男性が見事に取り込んでいた。

 素人でもマダコをGETできる?

 できます。なにしろ、サオを使わない。それに道具はすべてレンタルで料金内なので、船上で飲食するものを入れるクーラーボックスだけを持っていけばいい。初期投資がなくてもすぐにマダコ釣りができるのは、大きな魅力だろう。そこで、日刊スポーツ「釣り速報」の担当スタッフで、マダコ釣り未経験者「ハットリ」を取材に投入した。

 ハットリは、現在、ヘラブナ修行中で紙面企画「ヘラブナ道場」門下生でもある。ただ、海の釣りも経験しないことには…それにサオを使わないマダコ釣りは経験しないことには、分からないことだらけだ。

 返しのないテンヤバリの仕掛けにマダコが大好物のイシガニを結んで海底まで落とす。この仕掛けが渋糸でつながっていて、手で操作する。底を「トントン」と小突いて、イシガニをゆらゆらさせて、マダコを誘う作戦だ。

 この「トントン」の途中で重さを感じたら、糸を両手でまくり上げて、船内にマダコを取り込む。テンヤバリはマダコに刺さっているだけなので、渋糸を巻き上げてくるときに気を抜かない。ちょっとでも緩んで糸フケが出るとマダコは逃げちゃいますよ。

 さて、ハットリ、乗船した他12人がどんどん釣れて行く中、釣果のない最後の1人になってしまった。そんなドキドキの展開でも、宮川敦船長に教わった「底の小突き」を真面目に繰り返していたら、ガツン! 巻き上げると「お、重いです。なんか重たいです」と超興奮状態。渋糸をピンと張って、緩めずに巻き上げて、何とかマダコを釣り上げた。「うぇ~ん、本当に釣れた。基本に忠実に小突いていると、いいことがあるんですね。面白いです」とハットリ、涙を流して喜んでいた。

 マダコはこれからが本番。1キロ以上の大きいサイズは吸盤がおいしくて、面白い食感なので、ぜひ味わってもらいたい。初心者でも教わった通りに小突いていれば、きっといいことありますよ。【寺沢卓】

 ▼船 富津「みや川丸」【電話】0439・87・4137。マダコは午前4時45分ごろから受け付け、同5時には出船。貸しテンヤ、氷、持ち帰り用ネット込みで9000円、女性と中学生は6000円。要予約。定休日は第3金曜。