「駿河湾」と「Tokyo Bay(東京湾)」、2つのマダイダービーが14日、閉幕した。駿河湾は、最後の2日とオマケ1日でドラマが起きた。東京湾では、絶対王者が3連覇を成し遂げた。釣果を残した釣り人は、駿河湾が72人、東京湾は70人、同時期に総勢142人がマダイを釣り上げた。

 駿河湾を制したのは、木下信也さん(42=愛知・高浜市)だった。御前崎「博栄丸」で4月14日に6・8キロを筆頭に5・6キロ、3・7キロをそろえて、この日だけで16・1キロを記録し、以後最終日まで首位を明け渡さなかった。

 記録上は1日だけの参加だが、ダービーを想定して2月から隔週で御前崎に足を運んでいた。マダイは釣れなかったが、大物の気配は感じていた。昨年3月12日、木下さんは目撃してしまった。会社の同僚、平田康志さん(49=愛知・刈谷市)が10・6キロの大ダイを釣り上げた。昨年のマダイダービー初日、駿河湾を情報が駆け抜けた。

 木下さん この海には、とんでもないモンスターがいる。あきらめなければ、釣れる可能性はある。

 今年4月14日も平田さんと一緒に博栄丸に乗船した。朝からマダイの食いが立ち、釣り座関係なくマダイが躍った。木下さんは2キロ台をヒットさせ、3・7キロ、5・6キロをキャッチしていた。それでも満足はしていなかった。

 最後の一投、コマセを振り終わった周囲の釣り人は道具を片付け始めていた。木下さんはもぞもぞしながら、サオ先だけをみつめていた。キュン-突然サオがしなってリールのドラグが鳴った。道糸が2色(20メートル)走った。慌てずにサオを握って無理をせずに引き寄せた。最後だったので木下さん以外は全員仕掛けを上げていた。プカリと浮いたマダイがタモに入った瞬間、船からわき立つ拍手が駿河湾にこだました。

 木下さん これはうれしかった。でも、まさかこんなに釣れるとは。でも、その後の釣行でこんなに釣れないとは。

 13日、戸田「たか丸」で大川敏幸さんがダービー最大の8・39キロを釣り上げて、総重量で990グラムまで迫られた。1日遅れではあったが、15日には「博栄丸」常連の伊豆原克則さんが7・3キロと2・9キロを釣り上げて総重量で16・8キロ。ダービーは終わったが、駿河湾のマダイはまだまだ楽しめそうだ。

 ▼マダイダービー 3月11日から駿河湾、同15日から東京湾が始まった。最終日はともに5月14日。マダイに特化した期間限定大会で、3匹の重量で競う。