2連覇、そして史上初の3度目Vだ! 「日刊スポーツ・フィッシング・サーキット2017」ブラックバス部門の決勝が14日、山梨・精進湖で実施され、昨年王者の永井恵一さん(47=東京・日の出町)が出場選手の中で最大魚1275グラムを含む3匹重量2660グラムで2年連続3度目の優勝を決めた。年間を通した下見を敢行し、昨年まで経験のなかった精進湖のバスを完全分析していた。

 14人の選手が帰着して、すぐ計量が始まった。様子を見ていたフィッシングナビゲーター永浜いりあがポツリ。「永井さん、強すぎる。すげぇー」と素のまま、感想を漏らした。

 永井さんの強さは際立っていた。どんな釣り方をしたのか?

 その前に永井さんは、昨年まで精進湖でバス釣りは1回もしていない。「ワカサギはあるけど、バスはないなぁ」とあごに手を当てながら記憶の糸をたぐっていた。

 永井さんは昨年のバス決勝覇者。2011年から7年連続決勝進出をしている。11年から順位は、4位→11位(12年)→5位(13年)→優勝(14年)→準優勝(15年)→優勝(16年・今年)で、特にこの4年は、狙った表彰台は逃しておらず、過去誰も手にしたことのない3度の優勝をつかみ取っている。

 今年の決勝会場となった精進湖「湖畔荘」では5月8日~6月11日までダービー形式の予選を実施して29人が参加した。最下位の29位が永井さんだった。「永井さんはダービーで釣れたんだけど、全部逃がして釣果は0匹だった。それから通ってくれて、季節ごとのバスの動きを研究してたみたいだよ。勝つ人はすごいね」と湖畔荘の渡辺金尊店主はうなった。

 では、実際に何回プラ(プラクティス=試釣のこと)に精進湖を訪れたのか?

 永井さん 11回ですかね。ホームの河口湖にも行かずにせっせと精進湖に通いましたね。

 精進湖の常連は「いや、オレらでも年間でそれほどは行かない。そこまで準備されたら、勝てないかも」と舌を巻いた。

 精進湖はどんな湖なのか?

 永井さん 河口湖をキュッと小さくした感じ。とにかく狭い。1日で全部回れちゃう。シャロー(浅場)もカケアガリもある北側の本湖がいいです。

 今回は、定番のクランクベイトと、もう1つ秘策があった。

 永井さん トラウトで使うメタルバイブ。ちょい投げして、底をチョンチョン、とたたくようにしてアピールすると、口を使ってくれる。ハマりました。

 準優勝の正木岳志さん(48=東京・目黒区)は、スモラバでいきなり1270グラムをキャッチできたが、その後、反応なく、スモラバ以外でいろいろ試したものの、やはり反応なく、最後にスモラバに戻したら1175グラムを釣りあげられた。

 正木さん やっぱりスモラバかぁ。2匹だけだった。あと1匹何でもいいから釣れていたら…永井さん、強いですね。

 3位は河口湖から勝ち上がってきた長谷川義人さん(46=山梨・甲府市)で、精進湖は15年前に岸釣りで遊んだだけ。慣れぬフィールドに不安に包まれた。

 長谷川さん とはいえ、いつもの釣りしかできないので、ドラッキングで常にルアーを動かして誘いました。最初に釣れた小さいバスが腹を見せてドキドキでしたが、4匹を釣ってなんとか入れ替えができた。3位は上出来です。

 それぞれの思いが交錯したバス決勝・精進湖大会。次回開催地は11月20日の湖川ブロック会議(熱海)で決定する。永井さんは「次は無理ですよ。そんな簡単なもんじゃない。でも、ベストは尽くします」と落ち着いた声で謙虚に、それでいて過去3人が挑戦して成し遂げられなかった3連覇に向けて瞳はらんらんと燃えていた。【寺沢卓】