アマモの揺りかごで育ったマダイが釣れている。場所は神奈川・八景沖。水深20メートル前後でサオがキュンキュン曲がって、尾ヒレのピンッ、とした個体に出会える。5日にはファミリーを中心とした60人によって、アマモの種約1万2000粒が野島公園のアマモ場にまかれた。11日には八景「太田屋」で初心者8人が参加したマダイ釣り教室が実施された。

 八景沖には、アマモで育ったマダイがわんさかいる。

 「太田屋」でマダイ船を担当する太田一也船長は「地道にコツコツとアマモ場を増やしてきたからこそ、八景では天然のマダイが枯れずに釣れる。魚を釣るばかりではなく、魚を育てることも大事。アマモはその切り札かもしれない」と話す。

 八景沖に続く野島公園の浅瀬にアマモが生い茂るアマモ場がある。15年前から毎秋、種1万粒以上をまいてきた。活動の中心となる、日本テレビの人気番組「ザ!鉄腕!DASH!!」に出演する木村尚さんは「八景で釣れるマダイの鼻の穴は4つ。天然ダイですね。養殖ダイは2つなんですね。アマモは海水を浄化するフィルターだし、幼魚が成魚になるまで安心して暮らせるシェルターでもある。みなさんに知っていただきたいですね」と解説した。

 東京ガスが企画する自然を大事におもう活動「森里海つなぐプロジェクト」の一環として、5日に小学生の子どものいる家族に声を掛けて、野島でアマモの種まきをした。60人が2班に分かれて、太田屋の釣り船に乗って、種をまいた。貝殻を原料とする紙粘土に種をはり付けて沈める。うっそうと茂るアマモ場が守られていき、マダイも育っていくのだ。

 アマモをまいた5日には、太田屋で5・8キロの大ダイが出た。太田船長は「秋は数釣り、というけど、まさに今はマダイのアタリを初心者でも楽しめる。5・8キロも鼻の穴は4つだった。アマモ場の力ですよ。ありがたい」と腕を組んだ。

 11日、太田屋がほぼ毎月実施するマダイ釣り教室が実施された。「マダイ釣り未経験」という8人が参加した。結果、4人が3匹以上を釣った。教室における太田屋スタイルは-常連も同乗して見本となり、何でも教える-というもの。この日も講師の新井利行さん(54=横浜市)が中心となって、常連4人が手取り足取り教えていた。まるで常連がアマモのようだ。

 マダイ4匹を釣った河野多紀子さんは「アジとかスミイカは経験あるのですが、マダイ、って特別な釣りというイメージでした。でもコマセカゴを底からハリスの長さ分で浮かせることがしっかりできているか。単純だけど奥深いですね」と話した。

 ゲームデザイナーで釣り初体験という井上大さん(29=世田谷区)は「もう難しい釣り、という印象しかなかったけど、タナ(魚の泳層)などはちゃんと理論構築できていてスゴいと感じた。偶然に頼らないのがすばらしい」と目を輝かせた。

 今なら八景の天然マダイの引きを存分に楽しめますよ。次回の教室の日程は、12月9日(土)になります。詳細は太田屋のホームページや釣り速報欄をチェック!

 ▼船 八景「太田屋」【電話】045・782・4657。釣り教室は、講習会をするため午前6時20分集合。出船は同7時15分。料金はエサ、氷、レンタル道具がついて男性1万500円、女性と子どもは7000円。マダイ以外では午前&午後便のアジ、ルアーは午前がタチウオで、午後はスミイカ。屋形船やバーベキューなども楽しめます。