ようやく伊豆半島のメジナが動いてきた。新年が明けてから、各地で40センチ超が釣れたという情報が入ってきた。昨年から開催している「伊豆半島磯メジナダービー」も、少しずつ動きが出てきた。現在、トップは3匹の合計全長で120・3センチ。まだまだ、記録は伸びそうだ。そこで、日刊釣りペン・クラブの鵜沢政則さんに石廊崎「橋本屋」から調査してもらった。

 昨秋から高潮温が続いていたため、メジナが大好きな岩ノリの発育が悪い。大打撃だ。そのため、メジナがいまだに磯にあまり寄ってきていない状況が、各地で見られている。

 そんな中、「伊豆半島磯メジナダービー」の開催されている石廊崎「橋本屋」にクラブメンバーと状況チェックで訪れた。

 例年通り今が絶好調! …と言いたいところだが、今年は黒潮の蛇行や強烈な寒波の影響で、日本列島全体が異常事態に陥っている。釣りも同様だ。

 釣行日は今月7日。結論から先に言うと、前日(6日)までの強風で潮温が下がっていて、場所により40センチ超の型物は出たのだが、全体にムラがあり、ちょっと厳しかった、という感想だ。

 今回私が乗ったのは、港のすぐ前の岡の丸島。石廊崎では中堅クラスの磯になる。前日までの情報では、食いが渋くてタナ(魚の回遊層)もかなり深いとのことだった。それでも場所によっては、大型がポツリポツリと出るらしい。磯に乗って「浅く攻める」「深く攻める」「際を攻める」と、みな別々の狙い方で攻めてみることにした。

 私は深く攻めた。しかし、沖めに投げるとややショウサイフグが多くて、針がなくなる。磯際では餌が残ってくる。そのうちにイサキが食い始めて、メジナのことをしばし忘れて、おいしいイサキ釣りに熱中してしまった(笑い)。

 潮が下げに入った昼すぎ、表の磯際で釣っていたメンバーが30センチ台を掛け、続けてもう1匹。釣れたのは色黒の地付きのメジナだった。メジナの色がさえない。これは潮、水温が適していない証拠だ。

 釣りが終わって港でメンバーの釣果を確認すると、エボシに上がったメンバーが41センチを頭に、良型を3匹キープしていた。上潮(にっちょう)島では42・5センチを釣り上げてきたメンバーもいた。場所によってかなりのムラがあって、釣れるポイントは40センチ級が複数釣れたが、まったく食ってこない磯もあるくらいだ。全体に陸地に近いポイントの方が、型が良かった。

 例年、ダービーは最後の方でバタバタと大型が出てくるので、後半のこれからが盛り上がってくるだろう。今までのリードは、ひっくり返される可能性が高い。面白くなりそうである。【鵜沢政則】

 ★鵜沢さんのイチ推し 今回、良型がヒットした場所は潮の動きが緩く、寒メジナの時期のポイントが多かった。狙ったタナは7~20メートルとやや深めだった。これからは、あまり潮の速くないポイントで、磯際か沖の根周りの深めを狙って、丁寧に攻めると、40センチ超の良型が出る可能性が高くなりますね。

 ▼伊豆半島磯メジナダービー 今季で5年目。伊豆半島3地区、雲見「佐市丸」、石廊崎「橋本屋」、大瀬「倉の下」で開催中。この3地区で初回に1000円の参加費を支払って登録すれば、期間中どこでも自由にサオを出せる。

 期間は、西伊豆の雲見は昨年11月11日から2月8日まで、南伊豆の石廊崎と大瀬は昨年12月1日から2月28日まで。

 14日現在で、3匹以上の釣果のあるのは10人。まだまだ記録は伸びそうだ。1月5日に雲見・牛付島で41・3センチを釣った宮崇(みや・わたる)さん(49=横浜市)は「昨年末、16度台だった潮温が4日に14度、当日13・6度。午後1時の潮代わりできましたね」と話す。

 同じく3日後の同所では、伊藤博信さん(38=松崎町)が41センチを釣り上げた。「潮温は15度でした。午前中に潮が上げて、下げて、上がった。最後に上げでヒットしました」と、伊藤さんは話した。

 ▼新年からの動き 今月5日、雲見港のすぐ前・牛付島で41・3センチが出た。この日はメジナの動きも良く、最多で20匹を記録した。6日は石廊崎エホンで45センチ、雲見・文助でも44センチ。7日も石廊崎・上潮島やエボシで40センチ超、雲見ではまたもや牛付島で44・5センチが釣り上げられ、新屋では30~38センチが3人で35匹と、動きが出てきていた。

 ちなみに大瀬「倉の下」では年末から船体整備に入り、まもなく整う予定。もうしばらくお待ちください。