大魔神こと佐々木主浩さん(50=本紙評論家)が、妻加奈子さん(37)と一緒に静岡県沼津市の久料「魚磯丸」で乗っ込みピークのマダイを狙った。魚探(魚群探知機)の反応は上々なのだが、マダイの食いはイマイチ。あるヒントがきっかけで、夫婦そろってマダイを釣り上げることができたぁ~。

 久料港。船着き場から沖に視線を送ると、美しい富士山が目に飛び込んでくる。日本一の山を眺める場所としては、国内でも有数であろう。世界遺産の極上のビューポイントだけではなく、マダイの釣り場としても一級品だ。久料「魚磯丸」は、大魔神夫婦も大好きな船宿だ。

 大魔神の久料でのエピソードは枚挙にいとまがないが、それはまた別の機会に紹介するとして、今回は乗っ込みピークにサオを出せた。現場は港から船を走らせて約10分。水深70メートル。久保田清船長は「もうすげぇよ。魚探の画面が真っ赤っかだ。底からちょっと浮いたところまで、大きな魚影がみえるね。こりゃいいわ」と、口ひげを指でさすってニタリと笑った。

 いい紙面になりそうだ。

 ところが…釣れない。コマセを振っても、底から魚影がはがれない。ハリスを4号から3号に落としても、動く様子もない。コマセを入れずにハリに差したオキアミだけで挑んでも、はね返される。そのオキアミを小さくして頭に近いところにハリ先を持って行っても、オキアミは残ったままだ。

 万策が尽きた。大魔神も腕組みをしたまま、動かない。隣をひょいと見ると、加奈子さんは船の軽い揺れに誘われて夢の中…。気持ちいいもんねぇ~。

 大魔神 困った。これ、食わないのはおかしい。もういいや、エサを交換しよう。

 そうつぶやいて、リールのハンドルを何の気なしに2回巻いた。ガツン! おお、来た。ちょっとしたタイミングなのか? 1・22キロの食べごろサイズのマダイだった。その直後、タコボウズ記者も当たった。サオをキーパーに固定したまま1メートルほど上げて、ゆっくりと30センチぐらい下げたところでゴツン! 1・5キロだった。ちょっとした誘いが効果的みたいだ。

 そして加奈子さん、サオの前で、誕生日を迎えた友人にメールを打ち込んでいた。サオ先が海に突っ込んだ。ありゃ、誘ってない。

 大魔神 おそらくサオから離れたことで、道糸を伝っていった殺気が解けたんだな。

 えっ、そんなこと…あるかもしれない。加奈子さんは900グラム。こぢんまりとまとまったが、大きいサイズのマダイはもうちょいすれば、口を使ってくれるかもしれない。

 大魔神 いますね。まだ31日までマダイダービーはあるから、みなさん、私が釣るはずだったデカいマダイを釣ってください。また、チャレンジしますよ。

 最終的には大魔神2匹、加奈子さん1匹。それでも「久料の海と富士山も見ることができて、しかも気持ち良く寝られました。リフレッシュできたぁ~」と、加奈子さんは大満足の弁。久料のマダイ、うれしい波乱はまだ残っていそうだ。【寺沢卓】

 ▼船 久料「魚磯丸」【電話】055・942・3230。マダイ乗合は、午前4時45分集合、準備ができ次第出船。午後便は同1時出船。コマセ、エサ、氷付きで9500円。女性、子ども、通しで割引あり。午前根魚五目、夜ムギイカも出漁中。要予約。