駿河湾の金洲-これまでのイメージは「巨魚の宝庫」だろうが、今どきの金洲遠征はちょいと違う。静岡・御前崎「博栄丸」(大沢洋輔船長)では、マダイの乗っ込みが幕を閉じてから、いそいそと金洲に繰り出している。一発大物狙いというよりも、いろんな魚を釣り上げる高級魚五目が主流となっている。27日、乗船した。

 最初に謝ります。ごめんなさい。天候に勝てず、金洲に行けなかった。

 27日午前4時。まだ星空が見えるころに御前崎港に集合する。釣り人は定員の14人。ここのところ好調なこともあって、常に満船だ。港では無風だったけど、港を出て20分、南西の風はそんなに厳しくなかったが、不規則な激しいウネリが発生した。「これは近づけない。金洲は断念して御前崎沖のホンガツオに切り替えます」と大沢船長。海には逆らえない。こんな日もある。

 今年はカツオが絶好調だ。駿河湾内では小魚が大きな魚に追われて、海面で跳ねるナブラが、多数出ていて2~3キロのカツオが釣れている。ただ、御前崎沖ではカド根付近の根周りについているカツオがたくさんいる。「南から黒潮に乗ってきたんだろうけど、カド根はエサが豊富なのか、カツオが居付いた。ありがたい話です」と大沢船長はニヤリと笑った。

 居付きのカツオは根の上を回遊している。海面から15~20メートルの深さがタナ(魚の泳層)となる。コマセをまくとガツンと食らいついてきて、手元まで巻き上げるまで格闘してくれる。25日はヒットしてから、全員がキャッチできて、短い時間で船中50匹以上釣れた。ただ、この日はあまりのウネリでカツオもエサに反応せず。30~35センチの良型イサキを釣るだけで終わった。

 前日26日から2日連続で乗船する愛知県の釣り人は「26日はカツオ3匹。サイズはいいですね。2日連チャンを期待したんですが、海がこの状態ではしゃーないです」と、丸まると太ったイサキをクーラーボックスに入れた。

 仮に金洲に行けたら、どうなるのか? かつてはマダイやカンパチの大型狙いの聖地だったが、今では様子も変化して「高級魚の五目釣り」になりつつある。今年はシマアジの2~4キロ級が釣れている。狙う水深はその日によって50~200メートルとバラバラ。ただし、ヒメダイ、マダイ、メダイ、カンパチ、メジナなどおいしい高級魚が釣れる。

 片天ビンでオモリ100号。ハリスはカツオが20号3メートル前後、シマアジが代表格の金洲高級魚五目は6~8号を6メートル前後。ハリは頑丈なヒラマサ14号を巻いておきたい。

 大沢船長は「天候次第ではあるけれど、イサキやウメイロもおいしいですよ。金洲のおいしい魚たちをいっぱい持って帰ってください」。さあ、天候とは相談になるが、金洲に行ってみようか。【寺沢卓】

 ◆御前崎「博栄丸」【電話】0548・63・3337。金洲遠征は、午前4時集合で氷付き1万3000円。コマセブロックは1個1000円で帰港時に使用した分と料金を合わせて会計する。カツオ狙いもナブラを追いかけて広範囲を走るため1万3000円、御前崎沖のマダイ五目は1万1000円で、ともに氷付きで使用したコマセ分を合わせて精算する。