今年はあっつい夏だ。そんな時は、家族で脂乗りのいいアジを釣りに行こうぜ。「釣りこそ、わが人生」と言い切る俳優哀川翔(57)が勧めるのは、千葉・内房、金谷「光進丸」(岡沢裕治親方、町田崇船長)のピッカピカのアジだ。港の名前もあるけれど、ここで釣れるアジは「黄金アジ」とも呼ばれる。アニキ哀川が10日、現地で釣り糸を垂れてきた。

 今回は、ユージ船長(光進丸の岡沢裕治親方)が、粋なはからいをしてくれた。「漁師がホレちゃう居酒屋がありまして、そこの大将に乗ってもらって、釣りたての魚をやっつけてもらいます」。こんなこと、なかなかできないお遊びだ。生きていくには常に真剣さが求められる。ただ、その中にはちゃんとした「遊び心」がないと、粋だったり、深みだったりはにじみ出てこない。ユージ船長、分かってるよな。

 紹介されたのは「旬鮮屋 こうすけ」の菅沼幸司店主。矢沢永吉さんの大ファンとのこと。オレも、六本木で遊んでいたころ、飲んでいた店にどうやって聞きつけたのか、矢沢さんが突然入ってきて「哀川さんですか」っていきなり右手で握手。なんだ、これ? って思って20分、笑顔の矢沢さんにずっと右手を握られた。で「哀川さん、サイコー」って左手もかぶせてきて、オレも両手でシェークハンドだよ。矢沢さんのファンはいいヤツばかり。目を見て分かったよ、菅沼さん、間違いないね。

 さて、アジだ。金谷のアジは港の名前をもじって「金アジ」とか「黄金アジ」などと呼ばれている。海洋環境専門家の木村尚(たかし)さんに同乗してもらったので、ここのアジについて聞いたら「私もよく分かりませんが、金谷のアジは確かにおいしい。朝日にかざすとキラキラした黄色で輝くからという説もある。山から流れてくる川の水が栄養たっぷりで、金谷の海にはいいプランクトンが漂っているんでしょう」。なるほど、緑豊かな山を抱え込んでいるのか。そりゃ、アジもうまくなるな。

 この日はアジもちょっと機嫌が悪くて、ファーストヒットは8時過ぎだった。ちょっとしたタナ(魚の泳層)が違うだけで釣れなくなる。でもタナさえ把握できればじゃんじゃん釣れる。オレは最後、置きザオにした。やっぱり正確なタナ取りが大事だな。

 格闘家の武田幸三と福岡でライブ活動をしているロックグループ「軍鶏(しゃも)」ボーカルのYoshiも同乗して釣っていたな。オレは26匹。黄金アジなら十分すぎる。菅沼さんにはアジを刺し身とナメロウ、そして取り置きのタチウオと一緒にすしを握ってもらった。いや~、オレもいろんなことやったけど、釣り船ですしは初めてだなぁ。こりゃ、最高だ。で、カサゴも刺し身にしてもらったんだけど、外見と違って上品で甘い白身だった。人も見た目じゃなくてハート勝負だぜ。

 今年は暑い。だからこそ出掛けよう。特に家族ならなおさら。夏の思い出づくりに金谷のアジだ。光進丸なら、初心者でも安心だ。ぜひ、ぜひ、黄金アジ、釣りにきてくれ、ヨ・ロ・シ・ク!

 ▼金谷「光進丸」【電話】0439・69・2697。ライトタックルのアジ船は出船6時で、エサ&氷付きで8500円。ウイリー仕掛けを使った五目釣りも同じ。土日祝日は午後便もあり。平日要確認。

 ▼君津「旬鮮屋 こうすけ」【電話】0439・55・3309。午前11時半からランチ、午後5時から夜営業。「お気軽においでください。30人までなら宴会も大丈夫です」(菅沼店主)。日曜定休。