アユの総匹数を競う「平成30年度GFG(がまかつファングループ)杯争奪全日本地区対抗アユ釣り選手権」(後援・(株)がまかつ、GAMAKATSU PTE LTD)が7月30日、岐阜県下呂市を流れる馬瀬川で地区予選を勝ち抜いた36選手(女性3人含む)が参加し、行われた。11選手で競った決勝戦は瀬の落ち込みなどで18匹(オトリ2匹含む)追わせた山本雅弘選手(中国)が念願の初優勝を飾った。2位は16匹で並ぶ重量勝負となり、山内康敬選手(北陸)が西森康博選手(四国)に39グラム差をつけて入った。団体戦は四国地区が優勝した。

 「G杯の再来かと思った」。山本選手は第39回G杯争奪全日本アユ釣り選手権(岐阜・益田川)の決勝戦で残り30分から8匹を追わせる圧巻の入れ掛かりで見事な初優勝を飾った。今回も、その時と同じようなポイントで次々に追わせ、興奮状態に。最大23センチの良型も掛かり「かなり楽しめました」と振り返る。

 攻めたのは大会本部前の大岩周辺。G杯と同じ瀬が落ち込む深みだった。瀬の開きから1メートルごとに引き上がり、オトリが落ち着く石裏で竿を立てるとガツーン。10匹を次々追わせ、反応が止まると深みの上手でも6匹釣り上げ、2位の山内選手に2匹差で快勝した。

 予選もトップの18匹で通過。2日前から予選エリアをくまなく探り歩き、野アユの反応に合わせた掛けバリをそろえる努力が実った。狙ったのは底が明るく見えるところで、他の選手が見逃しやすいピンスポット。アユ釣りを覚えた鈴張川(広島・太田川支流)と馬瀬川は「小場所で掛かるというヒットパターンが似ているので得意なんです」。

 そして何より、GFG杯には特別な思い入れがあった。全国大会で初めて表彰台に上がった平成22年度GFG杯(和歌山・日高川龍神地区)で同匹数の重量差(わずか4グラム差)で優勝を逃した。そのときの悔しさが脳裏から離れず「僅差では勝てない」とGFG杯全国大会に参戦するたび、人一倍の下見を重ねてきた。

 そんな長年、追い求めた念願のGFG杯を手にすると「馬瀬川は水がすごくきれいで、アユがうまく、現地の人も温かい。大好きな川でリベンジすることができて最高の気分です」と少年のような笑顔で喜びを口にした。

 次の目標は「G杯アユの2勝目、さらにはG杯チヌも取ってみたい」ときっぱり。山本選手の信条は「トーメントを通じて、いろんな人と出会い、技術はもとより、考え方など、自分が共感できるものをどん欲に吸収していくこと」。そんなあくなき向上心が、G杯アユV2、2種目制覇の道を切り開いていく。【近江康輔】