日刊スポーツ・日刊銀鱗倶楽部主催「月桂冠杯 福井・若狭本郷筏チヌ釣りセミナー&大会」が19日、福井・若狭本郷のイカダで行われ、女性4人を含む49人が参加し、チヌの総匹数(下限なし)を競った。快晴に恵まれ、早朝から各筏でアケミ貝の両貝や半貝、サナギ、シラサエビなどを使う人が順調に竿を曲げ、午後3時の納竿まで夏チヌの数釣りを満喫した。優勝は初出場の塩野弘幸さん(岸和田市)で、歴代最高匹数の63匹を釣りあげ、圧勝した。最長寸を釣った人に贈られる「月桂冠賞」は27・6センチを仕留めた清原静治さん(日進市)が受賞した。

 「若狭本郷の夏チヌは最高ですわ。ヒットパターンがズバリはまりました」。小、中型の数釣りを得意とする塩野さんが、朝一から快調に竿を曲げ続け、他を圧倒した。勝因は3回の試し釣りで見切ったというチヌの食いダナとテクニカルな食わせ方。この日も「チヌが浮いている」と確信すると、底付近で誘い上げたり、落とし込んだりしながら次々にチヌを仕留めた。

 上がったのは青柳の3号筏。朝一はサナギとコーンが当たりエサとなり、午前10時までに20センチ前後を30匹ほどキャッチ。チヌの食いが渋くなると刺しエサをシラサエビに切り替え、バラシや素バリ、ハリの飲み込みが少なくなる合わせ方のパターンを追求。ダンゴが割れたあと、ラインを張り気味に待ち、ラインの変化を合わせることで的確にチヌの口元をとらえ続けた。

 午前11時半ごろからは足元にまき続けていたシラサのダンゴがききだし、竿下がチヌだらけに。得意とするシラサエビのダンゴ釣りで、ほぼ1投1匹のハイペースで釣り続け、納竿の午後3時までに2位に41匹も差をつける63匹を釣りあげた。

 優勝カップを手にすると「狙っていたのですごくうれしい。試し釣りの成果です。いつもお世話になっているはやし渡船・林健一船長のおかげです。今夜はいただいたお酒『純米大吟醸・鳳麟』をじっくり味わいたい」と、日焼けした最高の笑顔で喜びを口にした。

 塩野さんは小学1年生のころから父親に連れられ、かかり釣りを始めた、根っからのチヌ釣り師。若狭本郷には、年に10回ほど訪れるそうで「ここほど、色んなパターンで数釣りを楽しませてくれる釣り場はない。すごく相性がいいんです」とにっこり。ほれ込んだ釣り場に通い続け、チヌのくせを読み抜き、腕を磨いていくかかり釣りの醍醐味(だいごみ)を感じさせられる素晴らしい圧勝劇だった。【近江康輔】