お正月に欠かせないのがタコ。そう、青空に高く糸でちょいちょい操りながら…じゃなくて、8本足のマ・ダ・コ! ただ「糸でちょいちょい」は当たらずとも遠からず。東京湾の「江戸前ダコ」が面白い。千葉・内房の富津「みや川丸」では、サオを使わずに直接糸を手繰ってカニに抱きつかせる。1~2キロ級の良型をゲットできる。ゆでると縁起良くまっ赤に染まるマダコ捕獲に富津を訪れてみませんか?

想像してみてください。お正月の食卓にゆでたマダコ1匹が鎮座する風景を。元日の朝、寝ぐせもそのままに「明けましておめでとー」と口にして「昨日の紅白、面白かったよね~」「どうする、何時に初もうで、いっちゃう」「みかんの皮むいて、おかあさん」とか亥(いのしし)年、初めての家族団らんの会話をマダコがすべて聞いているんです。

8本の足がクリンとなって、まっ赤な頭で、好きなときに足を切って食べる。ちょっとぜいたくに大きめにカットして、タコ焼きパーティーをしてもいい。家族だけじゃなくて、新年会でマダコ宴会にしても面白いかもしれない。楽しそうでしょ? さあ、2019年の幕開けを面白くできるマダコ。江戸前のおいしいマダコで大評判、富津まで足を延ばしてみよう!

マダコの伝統漁法って、サオを使わない。直接糸を手で持つ。「えー、正月だから空に飛ばす凧(たこ)と勘違いしてませんか?」などの声があがりそうだが、渋糸という太い糸の先に2つのハリにイシガニとオモリをくくりつけた仕掛けを付ける。イシガニはマダコの大好物で、これを「タコテンヤ仕掛け」と呼んでいる。この渋糸と仕掛けはもちろん料金の中に入っている。つまり、クーラーボックスだけ持っていって、あとは何もいらないのだ。

荷物が少ない→手軽でいい→こりゃ、楽しい。そんな幸せな公式が成り立ちそうだ。「みや川丸」宮川淳船長は「この釣りは水深15~20メートルの浅場の底をトントン小突く、ひたすら小突く。とても簡単。生まれて初めて来ても2キロ前後の大物を持って帰る人もいますね」と話す。チャンスだ。

今年は300~500グラムの小さいサイズが多いけど、数はいそう。テンヤ仕掛けは底から離さずにユラユラ、フワフワさせる。糸を持った手を上下動させるけど、そのスピードは速い方が良かったり、遅い方のタイミングがバッチリくるときもある。その調子を探るのが、これまた面白い。

ワイワイ、ガヤガヤ、みんなで横に並んで釣るのも楽しいですよ。テンヤ仕掛けにマダコが抱きつくことを「釣る」ではなく「乗る」と表現する。

マダコが乗ってくると、ギューンと重さを感じるから、そうしたら渋糸を緩ませないで張ったまんま手繰ってくる。仮に途中でバレちゃっても、並んでいる人とか、すぐに落とせばまた乗ってきますよ。タコボウズ記者も今回の取材では3匹乗せましたが、最後の1匹はバラして、すぐテンヤ仕掛けを落として無事に「回収」できた。

さあ、年末のちょっとしたタコ旅行、さあ、富津を目指してみようか!【寺沢卓】

▼船 千葉・富津「みや川丸」【電話】0439・87・4137。マダコ乗合は午前6時に受け付け開始。船宿特製タコテンヤ(イシガニを結んだもの)&渋糸のレンタル、持ち帰り用ネット、氷、そしてマダコのゆで方と下処理レシピが付いて9000円。女性・中学生以下は6000円。要予約。