磯メジナ釣りの日本一を決める「第37回G杯争奪全日本がま磯(グレ)選手権」が12月2~4日、大分・米水津(よのうづ=佐伯市)で行われた。全国から精鋭36人が参加し、伊豆地区代表として大澤雄一さん(46=小金井市)が初参加した。大澤さんは、2016-17年シーズンの本紙「伊豆半島磯メジナダービー」覇者。競技メジナの全国大会は初体験で、九州での釣りも人生初めてだったが、予選を突破し4位と大健闘した。

両腕のしびれが引かなかった。2日間、ヒシャクでコマセを打ち続けた。7試合700分を戦い抜いた。充実感はあったものの、表彰台にのぼる3人を見つめて大澤さんは唇をかんだ。

大澤さん 長そでの下は湿布薬をいっぱい貼っています。やっぱり準決勝で勝って、決勝に進みたかった。やりきったという気持ちもあるけれど、負けた悔しさも大きい。

G杯の予選は過去2回参加していた。今シーズンは、伊豆地区代表として、全国の予選を勝ち抜いてきた36人(うち4人は、昨年大会1~3位のシード選手&がまかつ推薦1人)に入れた。念願のG杯全国大会に出場できた。

九州での釣りは経験がなかった。大きなメジナがいっぱい釣れる印象が強かったが、妄想が膨らむばかりでどんな釣り場なのか見当もつかなかった。試釣をするため、現地には大会3日前に入った。現地での宿泊費を捻出するために車で東京から九州まで移動した。

大澤さん ほとんど寝ていない。でも、うれしくて興奮して、目は冴(さ)える一方。小学生の遠足みたいですね。

試釣で気付いたことがあった。本命のメジナを釣るには、エサに反応する小魚を避けるため、離れた場所にコマセを打ち込む。小魚を集めておいて仕掛けは狙うポイントに投げる。伊豆半島なら通じる作戦だが、どう工夫してもキタマクラやハコフグに邪魔されて、肝心のメジナを釣ることができない。

大澤さん 3日目にツブ(大きなオキアミ)を手でつかんでばらまいたら、大きなメジナが底からわいてくるように次から次に出てきた。小魚が入ってこない。で、そこに仕掛けを静かに入れる。釣れました。予選はこの“ツブシャワー作戦”がバッチリはまりましたね。

3日の予選は36人が6人ずつ6組に分かれた。大澤さんは昨年3位藤井信行さんや最年少の27歳玉井克忠さんらと対する激戦区の5組だった。藤井さんには敗れたが、3勝1敗で5組1位で決勝に進出できた。

翌4日の決勝トーナメントでは準々決勝を突破できたが、準決勝と続く3位決定戦で敗れた。惜しくも4位。3位までに与えられる来年のG杯全国大会のシード権もするりと逃してしまった。

大澤さん 切り替えます。7試合戦えたのはベスト4の4人だけ。それだけでも幸せです。面白かった。さあ、次は伊豆半島磯メジナダービーですね。2年ぶりの優勝目指して頑張ります。

11月23日に開幕し、3月3日まで熱戦を繰り広げるダービーに大澤さんの視線は向いていた。開催地区は雲見「佐市丸」、石廊崎「橋本屋」、大瀬「倉の下」の3地区。3匹の合計全長で競う大会で、期間内なら1匹からの記録更新ができる。G杯でひと皮むけた大澤さんが台風の目になりそうだ。【寺沢卓】

◆G杯とは 釣り具総合メーカー「がまかつ」が主催する釣りの全国大会の総称。磯グレのほか、磯チヌ(クロダイ)、アユ、ヘラブナ、投げ釣りシロギス。誰の手も借りずに自分の戦略だけで釣る5種に限定される。磯グレは全国9カ所で予選会を実施。勝ち抜いた32人と、昨年の上位3人とがまかつ推薦1人の計36人で競った。2日夜、競技会議と選手紹介が行われた。3日は6人ずつに分かれ、6組の予選リーグが行われ、各組1位6人、2位以下でポイント上位2人(ワイルドカード枠)の決勝Tに進出する計8人を決めた。最終日の4日は決勝Tを実施。