ロカボって知っていますか? ご飯やパンなど糖質が多い食事を控えめにするロー・カーボハイドレート(低糖質)の略語です。緩やかな糖質制限食のロカボを提唱する東京・北里研究所病院の山田悟・糖尿病センター長(46)が、おなかいっぱい食べてもやせられる「ロカボでダイエット」を教えてくれます。

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 これまでロカボの方法やメカニズム、ロカボ商品などを紹介してきました。

 ロカボはメタボに効きます。1食の糖質を40グラム以下にするだけで、肉や魚や野菜はたっぷり食べて構いません。こんな緩やかな糖質制限で、肥満の人は確実にやせることができます。

 ロカボはロコモにも効果があります。筋肉や骨を削ることがないので、年齢とともに骨がもろくなって、骨折しやすくなることを防止します。ロカボはアンチエイジングや認知症対策にもなります。

 いま日本人には、ロカボが必要です。満腹まで食べてもやせられる。やせている人は筋肉が付いて、締まった体形になる。しかも、血液中の脂質、血糖、血圧が改善する。理想的な食事法と言えます。

 北里研究所病院でロカボ食を続けたところ、1年後には注射薬や飲み薬の量が大きく減りました。ロカボで薬剤費が減る。私が設立した「食・楽・健康協会」の試算では、日本の医療費と薬剤費は、年間約1500億円の削減になります。

 ロカボに取り組むと、各メーカーはおいしい食べ物をあきらめていた消費者、患者さんを取り戻すことができます。売り手良し、です。消費者も、おいしい物を楽しみながら健康になります。買い手良し、です。社会全体では医療費が削減できる。世間良し、です。ロカボは「売り手良し、買い手良し、世間良し」の三方良し、になります。

 より健康な日本社会を実現するため、皆さんにロカボを活用していただければ幸いです。(おわり)

 ◆山田悟(やまだ・さとる)1970年(昭45)1月1日生まれ、東京出身。慶応大学医学部卒。東京・港区の北里大学北里研究所病院糖尿病センター長として、糖尿病患者のQOL(生活の質)向上を目指す。緩やかな糖質制限食ロカボで、おいしく食べて健康に-を目標に2013年11月、一般社団法人「食・楽・健康協会」を設立し、ロカボの普及に努めている。