元モデルの歯学博士・照山裕子さんが、口臭が気になる、歯周病が進んできた…歯と口の悩みなど、皆さんの悩みに回答します。

 Q 丁寧に歯磨きしてきたつもりですが、50歳を過ぎて歯は歯周病でボロボロです。なぜでしょうか。

 A 歯磨きをしてきたのに歯周病に…という人は、実は正しく歯を磨けていないんです。歯磨きのやり方を習うのは幼稚園や小学校です。「みんなで歯磨きしましょう」と、歯ブラシをグーで握ってゴシゴシ磨くという習慣がつけられる。その習慣のまま大人になり、正しい歯磨き指導をしてもらったことがない。

 歯周病予防のための歯磨きは、歯と歯茎の境目に斜め45度にブラシの毛先を差し込むイメージです。子どもの歯と大人の歯並びは違うのに子どもの頃からの習慣で、歯の白い部分だけを磨く。歯と歯茎の隙間にごっそり汚れがたまります。乳歯から永久歯に生え替わる子どもの歯は、基本的にガタガタです。上の歯と下の歯のかむ面にも汚れがたまるから、歯をしっかり磨きましょうと指導されます。でも歯がそろい、かむ面がきれいに並べば、汚れは付きにくい。大人はどちらかといえば、歯茎磨きのイメージです。

 歯茎を傷めず、汚れをとるには軟らかめの毛先です。ほとんどの歯科医院は硬い毛先の歯ブラシを取り扱っていないと思います。歯ブラシの持ち方も、鉛筆を持つのと同じペングリップです。なるべく短く、ヘッドに近いところを持ちます。柄はなるべく細いものにしましょう。

 口の中はもともと虫歯菌が優位な人、歯周病菌が優位な人に分かれます。小さいころから虫歯がひどかったという人が、歯周病にならなかったりすることはあります。逆に虫歯が1つもないような人、一見ものすごく健康な口に見える人が、まだ30歳前なのに歯周病で歯がぐらぐらし、抜かなくてはならなくなったりすることがあります。虫歯菌は少なかったが、歯周病菌が優位だった。しかも正しい磨き方を知らなかった。

 どこの歯科医院でも歯科衛生士がいて、鏡を使ってブラッシング指導をしてくれます。鏡も見ないでゴシゴシやっているだけでは、絶対汚れは取れません。

 ◆照山裕子(てるやま・ゆうこ) 歯学博士。厚労省歯科医師臨床研修指導医。歯と全身の関わりについて幅広く学んだ経験を基に、機能面だけでなく審美的要素にもこだわった丁寧な治療がモットー。分かりやすい解説でテレビ、ラジオにも多数出演している。学生時代はモデル事務所に所属。近著に「歯科医が考案 毒出しうがい」(アスコム)。