元モデルの歯学博士・照山裕子さんが、口臭が気になる、歯周病が進んできた…歯と口の悩みなど、皆さんの悩みに回答します。

 Q たばこがやめられません。歯には良くないんですよね。

 A 何がいけないかといって、一番はたばこを吸うことによって血流が悪くなってしまうこと。ニコチンが原因なのですが、血管を収縮させてしまう。新鮮な血液の循環がなくなって、体の抵抗力が落ち、ばい菌に侵されやすくなる。同じような歯並び、同じような食生活、同じような歯磨き習慣だったとしても、たばこを吸っている人の方が確実に悪くなります。煙がたまるからでしょうか。特に上顎が悪くなります。

 治りにくくもなります。例えば、歯を抜いたとすると、たばこを吸う人はいつまでたっても歯茎がグジュグジュしています。

 歯周病が進んで歯が抜けた。インプラントにすればいいと思うかもしれませんが、インプラントもすぐダメになります。インプラントは95%以上が成功するといわれ、自費治療の中で最も成功率が高い治療法ですが、ダメになる人はほとんど喫煙者です。傷が治らないのと同じように、骨とインプラントがつかない。一時的についても、ロストといって、取れてしまう。

 歯茎も黒く硬くなります。麻酔するとき、針がはね返り、折れるんじゃないかというくらい硬くなります。

 ヤニが付いて、見た目が悪いから、研磨剤が入っている顆粒(かりゅう)状の歯磨き粉で磨く人が多いですが、それも歯周病に悪い影響を与えます。歯周病の人は歯茎がブカブカしているイメージです。そのブカブカしているところに研磨剤のマイクロビーズが詰まる。ビーズがたまって炎症を起こす。たばこで歯茎が弱って歯周ポケットが深くなっていますから、取りきれないんです。白い粒々をためて歯茎を腫らして歯科医院に駆け込む患者さんは本当に増えています。

 たばこはやめてもその影響は10年くらい体内に残るといわれます。代謝など体が正常な状態に戻るまでそれだけの時間がかかります。1日も早くやめるべきです。

 ◆照山裕子(てるやま・ゆうこ) 歯学博士。厚労省歯科医師臨床研修指導医。歯と全身の関わりについて幅広く学んだ経験を基に、機能面だけでなく審美的要素にもこだわった丁寧な治療がモットー。分かりやすい解説でテレビ、ラジオにも多数出演している。学生時代はモデル事務所に所属。近著に「歯科医が考案 毒出しうがい」(アスコム)。