元モデルの歯学博士・照山裕子さんが、口臭が気になる、歯周病が進んできた…歯と口の悩みなど、皆さんの悩みに回答します。

 Q 入れ歯、ブリッジの耐用年数はどれくらいですか。

 A 歯の場所、力の掛かり具合によって違ってくるので、何年とは言えませんが、保険適用の入れ歯は半年に1度、作り直しが認められています。ブリッジの場合、2年で作り替えができます。ということは、それぐらいしかもたなくても仕方がないということなのかなと、私は解釈しています。

 実際には半年に1回、2年に1回、作り替えに来る人はいません。入れ歯だったら2、3年、ブリッジだったら10年くらいは使ってますよね。ただ、10年使うと汚れがたまって、ほとんどが歯周病になります。保険で作った金属のブリッジの裏はどんなに上手にケアしてもプラーク(歯垢=しこう)がびっしりつきます。

 1日でも延ばす方法があるとすれば、入れ歯は洗浄剤に漬けて専用の義歯ブラシで洗う。ただ、プラスチックの劣化などは防げませんから、衛生面の問題をクリアするだけです。ブリッジの場合は歯間ブラシを入れたり、フロスにスポンジがついたスーパーフロスで掃除する。ただ、それでも多少違う程度です。

 ブリッジが外れるくらいまでほうっておくと、両脇の歯も助けられなくなります。3本ダメになったら、それをさらにブリッジでカバーしようとしたら、トータル7本。4本の歯で3本を補うという設計になってしまいます。人間の歯は上下14本ずつですから、7本をつなげれば半分。絶対もたないです。何年か後に雪崩のように歯を失う可能性があります。

 自分の歯を残したければ、インプラントか入れ歯の方が間違いなくいいと思います。口の中は髪の毛が1本入っただけでも気持ち悪いほど繊細です。入れ歯だとオエーッとなる嘔吐(おうと)反射がある人とか、血が止まりにくい、抗がん剤を使っている、骨粗しょう症である、などインプラント手術ができない人-選択肢がブリッジしかない人はやむを得ませんが、ブリッジは怖いです。

 ◆照山裕子(てるやま・ゆうこ) 歯学博士。厚労省歯科医師臨床研修指導医。歯と全身の関わりについて幅広く学んだ経験を基に、機能面だけでなく審美的要素にもこだわった丁寧な治療がモットー。分かりやすい解説でテレビ、ラジオにも多数出演している。学生時代はモデル事務所に所属。近著に「歯科医が考案 毒出しうがい」(アスコム)。