先日、オリックスでも新人選手の入寮が行われた。育成を含めて14選手。新聞紙面にはスペースの都合ですべてを掲載できなかったが、全員の目が希望に輝いていた。中から印象に残った選手を紹介したい。

 育成3位の神戸(かんべ)文也投手(22=立正大)は、小学校時代の恩師である羽根基夫さんの写真を持参した。神戸は小1で野球を始め、最初は野手。ただ監督だった羽根さんの「お前の投げ方は投手向き」との言葉で転向した。「それでここまで来られた。監督の言葉は間違っていなかった」と感謝する。

 羽根さんは、厳しくも愛情を持って教えてくれた。だが神戸が小5の時に病気で亡くなった。「末期がんの状態で、体を痛がりながらもプレーしながら指導してくれた。野球に命を懸けた監督です」。

 育成1位の張奕(ちょう・やく)外野手(22=日本経大)は、高校で体育教師をしている父・張正昌さんが書いた論文を持ち込んだ。タイトルは「一位旅日棒球選手父親的心路歴程」。張奕いわく「僕の小さいころから今までを書いたもの。家族のために頑張って恩返ししたい」。さまざまな思いを持ってスタートを切った。【オリックス担当=大池和幸】