開幕から波に乗れない中日に信じられないシーンがあった。12日のヤクルト戦(神宮)で一塁ビシエドが2死満塁で飛球を落球。2失点で同点にされた。その後に勝ち越して、辛くも勝利を拾ったが、思うように勝てないチーム状況を象徴する一幕だった。

 オープン戦も通じて今年初めての屋外でのナイターだった。球団内からはそんな同情論もあったが「空が黒い」から落とした、では言い訳にもならない。

 ビシエドは昨年7月にマツダスタジアムと甲子園で飛球を捕り損ねている。苦手意識が強く、周囲の野手には「なるべく捕ってくれ」とお願いもしている。

 中日は本拠地で強い。左中間、右中間が深く、本塁打が出にくい特性を生かした野球を目指してきた。ただ「ナゴヤドーム野球」に少々カスタマイズされ過ぎていると感じる。

 投手なら、天候に左右される屋外球場に弱い投手が多く、ローテーションを組む投手コーチの頭を悩ませている。ナゴヤドームのマウンドを好む吉見でさえ「本当はそうではいけない。どこでも適応しないといけない」と自戒を込める。

 地の利を生かす姿勢はもちろん間違っていない。だが環境に左右されない確固とした技術と、精神力を培わなければならない時期に来ているとも思う。屋外だろうと、ドームだろうと、どんなマウンドだろうと。低迷期が続くチームの「地力」について考えさせられた。【中日担当=柏原誠】