交流戦でパ球団が上位を占めると、実力差を埋めるために、セ・リーグもDH制を導入すべきだ、という声が上がった。その後、本格的な議論には至っていない。球界関係者は「メジャーのナ・リーグも導入を検討していたが、今は話が進んでいない。そういう流れも日本に影響を与えているかもしれない」と言う。投手を打線に組み込む「9人制」がセ・リーグの特色であり、予告先発導入時と同様に保守的な考えもあるだろう。

 伝統も大事だが、DH制には野球のレベルアップに好影響があると考える。野手はポジションが1つ生まれることで、選手育成の側面を持つ。例えば、ソフトバンクは期待の若手上林を9番で起用している。1軍の出場機会が増えることで、新たなスターが誕生する可能性がある。担当チームの阪神で言えば、休養日を必要とする福留がDHで打席に立てる。福留を見たいファンにとっても、うれしいことだろう。投手も代打で降板するケースがなくなり、より長いイニングを投げられる。中継ぎの負担にも関わってくる。DH制導入は攻撃的な野球という側面だけではない。記者は導入を前提に、活発に議論すべきだと思う。【阪神担当=田口真一郎】