中日の現場を3週間離れて侍ジャパンに密着していた。中日から代表に選ばれた又吉、京田はともに意外なほど目立っていた。

 中日のネックストラップを着けて取材中の記者に、宮崎合宿に来ていた一般男性が「こうして見ると、又吉選手と京田選手は確かに背格好が似ていますよね」と振ってきた。その方はソフトバンクファン。稲葉監督が合宿初日、又吉に対し「二塁どうだ」と京田と間違えて声をかけた、と報道された翌日のことだ。

 本人も「京田との見分け方はヒゲ。話題になるのはありがたい」と話すなど、楽しんでいる様子だった。代表の最年長。しっかり者なのに、投手陣の間でおじさん扱いされることで仲間の笑顔を増やした。

 京田は西武源田をはじめ、かなり積極的に野手陣と交流を図った。不慣れな二塁挑戦が話題になり、源田との新人王(当時はまだ候補)コンビは全国ニュースでも取り上げられた。場内の反応を見ても、全国の野球ファンから認知され始めていると感じた。

 今回のヤング侍では、漫画のような豪快なスイングの山川、ファンサービスを率先し、発言にも自覚たっぷりな山崎康、盛り上げ役の桑原、田村、オコエら、多彩なキャラクターがメディアで紹介された。又吉克樹は芸人の又吉直樹に名前が似ていることでも、知名度を上げている。プロは名を売ってナンボ。もっている男だと思う。

 中日にはプレースタイルも含め、キャラの立った選手が少ない。スカウトから現場復帰した石井昭男コーチが指摘したように、個性が抑圧される空気があるのが事実だ。今、中日に対する世間の関心度はとても低い。それはチーム成績だけのせいではない。中日ファン以外にも認知されるような「オンリーワン」が育つ土壌であってほしいと願っている。【中日担当=柏原誠】

台湾戦で右前2点適時打を放つ京田(2017年11月18日)
台湾戦で右前2点適時打を放つ京田(2017年11月18日)