日本ハム1次キャンプ地の米国アリゾナ州スコッツデールに到着して、間もなくのことだった。練習場で取材を終えた私は、夜の暗がりの中、車も人もほとんど通らない道を運転していた。左折のため、いったん停車したところ(米国は右側通行なので、左折=日本の右折みたいなものだと想像して欲しい)、交差点の横断歩道の手前で1台の自転車が止まっていた。自転車の飛び出しほど怖いものはない。ましてや、慣れない米国での運転だ。道を譲る気持ちでクラクションを鳴らそうか…と迷いながら近づいてみると、自転車にまたがっていたのは日本ハムの中田翔内野手(28)だった。

 思わず車の窓を開けて「怖いから先に渡ってよ」と声をかけると「だって、赤信号やもん」と、まっとうな答えが返ってきた。繰り返すが、車も人も、ほとんど通らない時間帯だった。失礼ながら、ちょっと意外な気がしつつ、誰も見ていないようなところで、しっかり交通ルールを守っている中田が、何だかかわいく思えた。

 米国滞在中、スーパーマーケットのショッピングカートで遊ぶ姿を自身のインスタグラムに掲載し、炎上した事件があった。すぐに投稿を削除、謝罪する事態に。悪ふざけが過ぎたことは批判されても仕方ないが、それだけで人間性すべてを否定しないで欲しい。良いところも、いっぱいあるのだ。奔放なところが中田の良さでもあるのだが、誤解を招くような行為には、くれぐれも注意を。主将としての役割をまっとうしてくれると信じている。【日本ハム担当=中島宙恵】