<ソフトバンク4-3楽天>◇27日◇ヤフオクドーム

 何とか勝った。借金生活に陥る寸前で工藤ホークスは残った。でも、素直に喜べないのが本音だろう。この日、また「戦力」を失った。昨年の最多勝男・東浜が右肩の機能不全で戦列を離れた。セーブ王・サファテ、最優秀中継ぎの岩崎、そして勝率1位の千賀の姿もない。昨年の「投手4冠」を交流戦前に失った。

 「やっぱり投手だよね」。辛勝を見届けた王会長はポツリと漏らして球場を後にした。野球は投手なのだ。強烈な逆風に鷹の羽根が1枚1枚もがれていくように、シーズンの厳しさがベンチにのしかかる。モイネロ-森の「新方程式」も先発陣の踏ん張りと、ブルペンの腐心の継投がない限り、残りシーズンを持ちこたえることはできないだろう。

 この日で言えば、7回が分水嶺(れい)だった。1死二塁で先発バンデンハークからモイネロに交代した。中継ぎの疲弊度を考えれば、先発には7回を投げ切ってほしかっただろう。何とかモイネロがこのイニングを封じたものの、続く8回に2発を浴びた。いわゆる「回またぎ」の危うさを露呈した。残り98試合。勝ちパターンでもこの種の継投が続けば、いずれは破綻するだろう。あらためて「継投策」の難しさを突きつけられた試合でもあった。

 戦線離脱もさることながら、「補給」もままならないことが、さらに投手の台所事情を苦しくしている。首脳陣はファームからの昇格人選にも頭を抱えている。この苦境を機会に2軍を含めた調整法など、再構築してくべきではないだろうか。【ソフトバンク担当 佐竹英治】