存在感は安心感になる。

 阪神能見が中継ぎに配置転換されて約2週間。16日時点で4試合に登板して1勝を挙げ、無失点で被安打はわずか1とさすがの投球をみせている。

 マテオ、ドリスが離脱し、藤川とともに、勝利の方程式を任されている。対応力と結果もさることながら、プロ14年目の能見の存在がブルペン陣に与える影響は大きい。

 「気持ちが楽になりました」と素直に言うのは、同じ左腕の岩崎。能見の昇格前までは唯一のブルペン左腕として奮闘していた。チームトップの登板数になるなど登板が続いていたことについては「仕事なので、投げさせてもらえるだけありがたい」と首を振る。ただ左腕が1人ではなくなったことに加え「能見さんは落ち着いていて、安心感がある」とにっこり笑った。

 ブルペンでの会話も参考になると言い「俺ならこういう球を投げるかな、とか、考え方が勉強になります」。配球や攻め方はそれぞれ違うものの、経験を積んだベテランの思考は岩崎にとっても引き出しのひとつになるはずだ。

 勝利の方程式を任される桑原も影響の大きさを語る。「技術ももちろんですし、対応もされている。さすが能見さんだなと思います」。能見昇格までは藤川に次ぐブルペンの年長者だっただけに「能見さん、球児さんと、阪神をよく知っているベテランの2人がいてくれている。僕らはついていくだけです」と笑った。

 ベンチにとっても起用の幅が広がり、その存在がブルペン陣に与える影響も大きい。もともと結束の強い中継ぎ陣。“能見効果”が、さらに好循環へと導いている。【阪神担当 池本泰尚】