ヤクルト鵜久森淳志外野手が10月2日、球団から来季の契約を結ばないという通達を受けた。直後の会見では「今後はちょっと未定かなという形です。現役も含めてみて、という形で。しっかり固まっていないので、家族と話し合って方向性を決めていきたいです」と、苦悩の表情で語っていた。

それから3日後。12球団合同トライアウト(11月13日、タマホームスタジアム筑後)受験を決断した。葛藤の末に導き出した結論の理由を聞くと、しばしの沈黙後、思いを絞り出すような声で心境を明かした。「いろいろと家族で話をして、考えました。難しいのは分かってます。でも、まだできるチャンスはある。最後の最後までもがいて、あきらめないで野球人生をやりきります。そういう姿を子どもたちにも見せたいんです」。スマートフォン越しには、鵜久森の声の奥から子どもの声が漏れ聞こえてきた。男として、父として、夫として、そして野球人として、完全燃焼するまでやり切ることを選んだ。

済美(愛媛)時代は右の強打者として甲子園で選抜初優勝、夏の大会準優勝に貢献。プロの世界でも日本ハム、ヤクルトで勝負強い打撃でファンを沸かせてきた。この先、どんな結論が待っているかは、見当もつかない。いばらの道かもしれない。それでも「とにかく頑張ります」と誓った。鵜久森が胸を張って、信じる道を力強く突き進む。【ヤクルト担当 浜本卓也】