かつての球界には「人気のセ、実力のパ」と称された時代があった。新庄が日本ハム入りした04年には球界再編が起き、翌年からソフトバンク、楽天が新風を吹き込んだ。セ・パ交流戦の導入でセ・リーグを圧倒。しかし新球団だけではなく、数々のパフォーマンスとともに、球界の構図を変えることに新庄が貢献したのは間違いない。新庄は今の野球界をどう見ているのか。

新庄 野球界を盛り上げたいという気持ちはないけど、そういうオファーがあったら、前みたいに、新しいプロ野球を作りたい。球界を変えたいとは思います。おれの発想で。初めにやることって、みんな文句言うんです。これが板について、ファンが味方になれば、新庄の考えは正解となる。野球が盛り上がるには、もう1回、野球を地上波でやってほしい。

スター誕生が熱望される日本球界だが、大谷がメジャーに流出して話題をさらった。今をときめく日本ハムの後輩には、あえて辛口だった。

新庄 おれは、オーラを感じないんすよね。球のスピード、打撃のすごさある。でも、まだスーパースターじゃない。トークがない。ファッションセンスも…、今の時代は必要なんですって、私服。トータルでスーパースターがいない。スターとは、カンピューターですよ。おれスターかな? スーパースターじゃないの?(笑い) でも、おれはスーパースターじゃない。スーパースターってのは、しゃべりがあって、プレーが良くて、人柄が良くて、ボランティアしてみたいな人…。だから、おれは違う。おれって、チャンスのときしか打てなかったでしょ。

変化を期待するのは選手に対してだけではない。日本でも「球団と球場の一体化」は、将来的な人気向上へのキーになる。

新庄 例えば、甲子園にプール造ったらどう? メジャーみたいに。子供が野球だけじゃ面白くない。やっぱりパークがあって、滑り台とかなんとかしながら野球をやる。甲子園に野球を見にいくんじゃなく、パークに遊びにいく感覚で野球を見るみたいな…。

最下位に低迷した古巣阪神はどう映っているのか?

新庄 (若手が育たないのは)上に気を使うからじゃないですか。監督、コーチの指示じゃなくて、自分の好きな、足りないとこの練習をさせないといけない。みんなお山の大将で伸びてるんでしょ。監督の指示なんてなかった。阪神を強くするには? おれ。どこの監督でもしたいですよ。今までの監督のやり方じゃなくて、おれのやり方で。一番のポイントは、新庄監督を絶対胴上げしたいという気持ちにさせることです。おれが監督なら優勝する。120%!

将来的には「第2次球界再編」の可能性も否定できない。野球人口の低下で底辺拡大は必須といえる。

新庄 野球は過渡期ですよ。球団数は今のままでいい。6・6で。間違いない。増やしすぎたらわからなくなる。減らしてもいいくらい。1リーグ? 面白くない。おれは、セ・リーグ、パ・リーグを毎年クジでやって、リーグを変える。日本ハムがセ・リーグに入った、阪神はパ・リーグ…みたいな。ムチャクチャ盛り上がるよ。監督もクジで、おれオリックス、おれ巨人…とかね。大事なのは過去より、未来。野球がNO・1じゃないと、つまらないよ。(敬称略=この項おわり)【編集委員・寺尾博和】

インタビュー中、笑顔でバットを持つ新庄氏(撮影・浅見桂子)
インタビュー中、笑顔でバットを持つ新庄氏(撮影・浅見桂子)
日本ハム時代の紙面を前に身ぶり手ぶりで話し始める新庄氏(撮影・浅見桂子)
日本ハム時代の紙面を前に身ぶり手ぶりで話し始める新庄氏(撮影・浅見桂子)