5月20日から茨城で開催された春季高校野球関東大会で、2人の二刀流が大きな話題を呼んだ。日大三(東京)・金成麗生(3年)と横浜(神奈川)・万波中正(2年)。ともに外国人の父と日本人の母を持つ2人が、ポテンシャルの高さを証明した。

 日大三・金成は、22日に行われた同大会の準々決勝・霞ケ浦(茨城)戦で公式戦初先発した。5回途中3失点で降板したが、140キロ後半を連発するパワーピッチングを披露。「長距離打者」とともに、「剛腕投手」としても、魅力を感じさせた。

 投げる度に、自己最速を更新する。早実との春季東京大会決勝戦では、リリーフ登板し、最速148キロをマーク。今年の高校生左腕トップの球速だったが、霞ケ浦戦ではスカウト陣のスピードガンで149キロを計測。一部では150キロ計測したとされる情報も飛び交った。

 最大の魅力は、角度である。193センチの長身から投げ降ろされ、打者にとっては、まるでビルの2階からボールが来るような感覚。霞ケ浦・高橋祐二監督は「角度に面食らってしまった」と話した。金成は「配球なんてないです」と話したが、全力で腕を振られること自体、相手には脅威だった。

 万波も角度、スピードともに金成と同じ魅力を秘める。初戦の土浦湖北戦(茨城)の7回1死から登板。190センチの長身から、初球に自己最速を3キロ更新する145キロをマーク。普段は野手の練習中心で、この日もブルペンでわずかに1球投げただけでマウンドに上がったが、インパクト十分な直球で驚かせた。

 西東京、神奈川ともに7月から夏の地方予選が始まる。春の関東大会で自己記録を更新した2人が、約1カ月半の間でどれだけ進化するのか。彼らが秘める潜在能力は周囲も、本人でさえも計り知ることは不可能である。【久保賢吾】