高校野球100年の夏は、「世界の王」の第1球から始まる。日本高野連は29日、今夏で大会創設100年を迎える全国高校野球選手権大会の開会式(8月6日)後の始球式を、ソフトバンク王貞治球団会長(75)が行うと発表した。春夏甲子園大会の始球式にプロ野球経験者が登板するのは、史上初となる。

 竹中雅彦事務局長(60)は「この方以外には考えられないという適任者だった」とした上で「プロアマの雪解けが進んだことも関係しています」と話した。王会長は早実(東京)1年の56年夏から4季連続で甲子園に出場。2年春は3試合連続完封の快投で優勝した。

 プロ入り後、巨人現役時代に通算868本塁打を放ち、引退後は巨人、ダイエー(その後ソフトバンク)監督としてリーグ優勝4度、日本一2度。06年ワールド・ベースボール・クラシックでは日本代表を率いて初代王者に輝いた。

 現在のプロとアマは、学生野球資格回復制度で元プロの監督、コーチとしての指導が可能になるなど雪解けが進む。王会長は資格を回復しておらず始球式登板は特例措置になるが、プロアマ関係改善の象徴的な出来事だ。

 ヤフオクドームで取材に応じた王会長は「甲子園のマウンドは高校以来。甲子園に出たときの気持ちは特別なもの。大変名誉な話なので、ちゃんと捕手に届けばいいなと思います」と語った。さらに「(プロとアマは)本来は1つでなきゃいけないと思う。日本の昔からの歴史ですぐにうまくはいかないことだが、こういうことで少しでも近づければと思います」と責任をかみしめていた。

 ◆甲子園に元プロ 第90回の記念大会だった08年の全国高校野球選手権初日、開会式に先立って「甲子園レジェンズ」というイベントが行われた。往年の名選手が子供とキャッチボールをする企画で、元西鉄の中西太氏(高松一)元中日の板東英二氏(徳島商)元近鉄の太田幸司氏(三沢)元ダイエーの香川伸行氏(浪商)元巨人の桑田真澄氏(PL学園)元日本ハムの芝草宇宙氏(帝京)ら元プロ選手が母校のユニホームで甲子園に登場した。