日大三(西東京)野球部が18日、名門・日大相撲部に1日入門した。早実・清宮のライバルとされる金成麗生内野手(2年)は、四股や股割りなどで柔軟性アップに努めた。相撲部の対馬コーチから「飛距離アップ」の太鼓判を押され、通算19本塁打から50本塁打を目標に掲げた。飛躍の年とすべく、まずは27日発表の第89回選抜高校野球大会(3月19日開幕、甲子園)の吉報を待つ。

 「ウァー」と雄たけびを上げながら、日大三・金成の股関節が広がった。「きついっす」と顔をしかめるほど、体の可動域は未知の領域に達した。日大相撲部の対馬コーチから「もっと球が飛んでいくよ」と飛距離アップを約束され、「(打撃は)どれだけ下半身で粘れるかが大事。バッティングにもつながると思います」と手応えを示した。

 下半身の柔軟性向上を目的に、1日入門した。小倉全由監督(59)が対馬コーチに発した「力士のような柔らかさ、いいですねぇ」との会話から実現。同監督は「金成は下半身が硬いので、何かいいトレーニングがあれば」と強化指定選手に指名した。2年生19人が参加。コーチ、アマチュア横綱でモンゴル出身のトゥルボルドら大学生に指導を受け、稽古に励んだ。

 視線は「打倒早実」「打倒清宮」に向けられた。昨秋の都大会では、金成が決勝の早実戦で3ランを含む4安打5打点と活躍。同じ左打者で、通算78本塁打の清宮に匹敵する飛距離で脚光を浴びた。金成は「いつかは上回らないと」と対抗心を燃やす。従来の「パワー」に「柔軟性」を融合し、「50本は打ちたい」と通算19本塁打からの大台到達を掲げた。

 約1時間半に及ぶ本気の稽古だった。腰割り、股割り、ムカデなどで股関節周りの柔軟性を高め、すり足、計200回の四股で体幹を強化。かつて、巨人高橋監督が現役時代に相撲部屋に体験入門し、四股などで下半身を鍛えたように、対馬コーチは「四股もバッティングも体重移動、下半身が重要」と説明。小倉監督も「下の力を使えれば、ボールも飛ぶ」と話した。

 稽古後の夕食、金成は食べっぷりと端正なマスクで女子部員を魅了した。193センチ、101キロの体格通りにちゃんこ、白飯5杯をペロリ。名前の「レオ」が米俳優レオナルド・ディカプリオの愛称と同じことから「デカプリオ」と呼ばれ、「かっこいい」と絶賛された。センバツの吉報を待ちながら、稽古を積む。【久保賢吾】

<野球選手と相撲>

 ▼角界から球界へ 92年にロッテに入団した市場孝之は明洋中を卒業した86年に佐渡ケ嶽部屋に入門し、琴市場のしこ名で序二段まで上がったが2年で引退。88年に国際海洋高に入ると、翌年ロッテの練習生となり入団へこぎ着けた。

 ▼球界から角界へ 64年から2年間、投手として近鉄に所属した土師一男(はじ・かずお)は、退団後大相撲へ。佐賀ノ海のしこ名で十両を2場所務めた。

 ▼トライアウトでスカウト 12年の合同トライアウトで峰崎部屋が新弟子募集を狙い、100枚の募集チラシを作成。翌年も募集活動を行うも、成果はなかった。

 ▼四股トレーニング ロッテは14年、2軍の浦和球場に元大関栃東の玉ノ井親方らを招き講習会を開催。四股踏みなどの指導を受けた。当時114キロの巨漢・井上は「いい体している」とオファーを受けるも、年齢制限を超えており同親方もガッカリ。

 ▼相撲部屋で稽古 オリックス佐野は今年1月、同郷の幕内嘉風がいる尾車部屋に弟子入り。2日間の入門で四股、すり足、ぶつかりなどを体験し、「給料が上がったら懸賞を出したい」。

 ◆関東・東京地区の出場枠 出場枠は「6」。東京大会優勝校の早実(西東京)と、関東大会4強の作新学院(栃木)東海大市原望洋(千葉)前橋育英(群馬)高崎健康福祉大高崎(群馬)の計5校は決定的。6枠目は例年激戦で、東京大会準優勝校と関東大会8強校の中で争われる。地域性なども考慮され、今年は日大三と慶応(神奈川)が競う格好だ。