「早実の春、清宮の春にします」-。早実(東京)の清宮幸太郎内野手(2年)が22日、第89回選抜高校野球(3月19日開幕、甲子園)の主役奪取を宣言した。この日、藁谷校長、和泉監督らとともに、早実の校舎のある国分寺市の井沢邦夫市長(66)、野球部グラウンドがある八王子市の石森孝志市長(59)を表敬訪問。取材に応じた清宮は「みなさんが、忘れられない春になる。勝ってこそ主役」と決意を語った。

 センバツまで1カ月を切った。国分寺の井沢、八王子の石森両市長を表敬訪問した早実の清宮主将は、地元の大きな期待を肌で感じ取った。訪問後、報道陣から「どんな春にしたいか」と聞かれ、ストレートな思いを言葉に込めた。

 清宮 みなさんにとって、忘れられない春になるんじゃないかと思います。自分たちが勝ってこそ主役だと思っている。そういうところは期待していただいて、いいかなと思います。

 両市長からの熱いエールの連続に、17歳の清宮も気持ちが高ぶったのだろう。テレビカメラを前に、堂々と主役奪取を宣言した。国分寺市では、JR国分寺駅の南口、北口に掲げる横4・5メートルの2枚の横断幕を披露。縦7メートルの懸垂幕も近日中に公開される。

 国分寺の井沢市長からは、子供たちへの「夢の伝道師」にも指名された。「子供たちの夢の対象になる。野球のみならず、あらゆるスポーツの目標になってくれれば」と期待された。

 清宮 自分も甲子園に出ている方たちを夢見て頑張ってきた。自分のプレーに憧れを抱いてくれる子たちが増えてくれるプレーを甲子園でも披露できればと思います。

 清宮にとって、初めてずくめの春を迎えている。現在はセンバツに向けた練習とともに、今月末に行われる試験に向けた勉強中。センバツ出場を逃した昨年は勉強に専念したが、今年は両立が求められる。井沢市長から試験の話題を振られ「大変です」と苦笑しながら「普通にやれば問題ないと思います」と力を込めた。

 ひと冬を越え、自らの成長と調整にも自信を示した。「土台作りの成果が表れている。試合勘をしっかり戻せれば、完璧かなと思います」と断言した。王貞治(現ソフトバンク球団会長)を擁し、57年のセンバツを制した早実。清宮を中心に60年ぶりとなる春の頂点を目指す。【久保賢吾】