早実(東京)・清宮幸太郎内野手(3年)が、仲間が体現した「ザ・早実」野球に胸を熱くした。

 2点ビハインドの9回、和泉実監督(55)から「山があれば谷もある。試合が動いたから、まだチャンスある」とゲキを飛ばされ、清宮も「自分たちに今できることはこの回しかないから、できることをやっていこう」と鼓舞した。

 監督、主将の言葉が届いたかのように、9回無死から連打でチャンスを作って、内野ゴロの間に1点。2死一塁となって2番横山のゴロを投手が取り損ね、清宮に打席が回った。実はイニングを迎える前に、昨秋の都大会決勝で日大三の金成に9回に2点打を浴びた場面を思い出し「金成君に打たれた時みたいだなと。いいじゃん、と思った」とニヤリ。冷静に四球を選び、野村の押し出し四球で追いついた。

 延長10回には9番野田が勝ち越し打を放ち、競り勝った。主将の清宮は「みんないい顔をしていて、生き生きしていた。球場の雰囲気を変える野球とずっと言ってきた。(9回は)こっちのペースだなと。あれが自分たちの持ち味です」と笑顔で話した。