大型左腕としても「デカプリオ」のポテンシャルは底知れなかった。日大三・金成麗生内野手(3年)はピンチをすべて直球で押しきった。

 2回2死二、三塁に4回2死二塁。193センチからぐわんと投げおろす剛球に、霞ケ浦打線は上位も下位も空を切った。これが公式戦初先発。「配球なんてほとんどないです。捕手が真ん中に構えて両サイドに散る感じ。細かい制球はできないので」。粗削りながらあっけらかんと笑う姿に、風格さえ感じさせた。

 一塁転向後に打力が開花。この日も3安打したが昨夏までは投手だった。猛暑はエース桜井周斗投手(3年)1人では投げ抜けない。小倉全由監督(60)が「1試合でも投げてくれたら桜井が楽になる」と起用した試運転。8球団のスカウトの前で自己最速を1キロ更新。5回1死から3ラン被弾で交代も、3安打5奪三振、最速149キロの衝撃にプロも目を見張った。

 早実との都大会決勝でリリーフした際は1球を除いてストレート。この日は桜井に教わったスライダーを本格解禁した。「野手転向して腕の振りが鋭くなった」と言い、以前の持ち球だったカーブはまだ封印。「今日は監督さんに3回もてばいいと言われていた。投手でも少しでもチームを背負えたら」。最後の夏まで、右肩上がりの成長曲線を描きそうだ。【鎌田良美】

<プロスカウト評>

 ▽中日正津スカウト 高めは打者がうわっと思う重い球を投げる。投手としての方がおもしろい。スケールが大きくて非常に楽しみ。

 ▽ソフトバンク宮田スカウト 左で149キロ投げる高校生はいない。スピードは高校生の中でもトップランク。

 ▽西武鈴木球団本部長 3安打で149キロ。潜在能力の高さから言えば(二刀流の日本ハム)大谷級。