福島3位決定戦は、東日本国際大昌平が9-8で福島東に逆転勝ちし、7年ぶり2度目の東北大会出場を決めた。1点を追う土壇場の8回表、4番柳葉潤(ひろ)外野手(3年)が2戦連発になる右翼越え逆転満塁弾を放ち、元プロ野球選手で就任3年目の伊藤博康監督(47)に初の東北大会切符をプレゼントした。

 主砲の豪快な一発が、東日本国際大昌平に、県勢最後の東北大会切符をもたらした。最大4点差から1点差に詰め寄った8回表2死満塁。柳葉がカウント2ボール1ストライクから大きく振り抜いた打球は、大歓声を湧き起こして右翼フェンスを越えた。値千金のグランドスラム。21日の準決勝で公式戦初の右翼越え先制2ランを放ったが、聖光学院に逆転負けし報われなかった。自らのバットで勝利を呼び込んだ柳葉は「頭が真っ白でびっくりして、とりあえずグラウンドを回った」と、素直に振り返った。

 伊藤監督就任後の2年春から不動の4番。現役時に巨人やダイエー(現ソフトバンク)でプレーした伊藤監督は「4番を外したことはない」と信頼している。小学生の頃はイチロー(現マーリンズ)に憧れたが、中学時代からは「名字も似ているから」と、同じ左打ちのソフトバンク柳田悠岐(28)の豪快なフルスイングに憧れるようになった。だが、伊藤監督には「まだ体ができていないのに大振りだ」と注意されている。柳葉は「満振りで空振りしてよく監督に怒られます」と苦笑い。伊藤監督は「スイングはチーム一だが、芯を食ったら大ファウルになる。(右翼越え本塁打は)本調子でない証拠かな。もっとレフト方向を意識できれば」と期待している。

 外回りのバット軌道を修正。飛距離を伸ばすために後方からトスを上げ、インパクトから球を運ぶまでのフォロースローを練習している。この日2打席目から敬遠気味の3打席連続四球出塁。相手投手が勝負せざるを得ない満塁の好機を、一発で仕留めた。不振の時は、伊藤監督に「お前さん以上に悔しいよ」と励まされてきた。柳葉は「4番を気にしたら力んで打てなくなる。後ろにもいるので」とチーム打撃を強調した。【佐々木雄高】

 ◆柳葉潤(やなぎは・ひろ)1999年(平11)7月27日、福島・いわき市生まれ。汐見が丘小1年からソフトボールを始める。植田東中では軟式野球部に所属。東日本国際大昌平では1年秋からレギュラー入り。家族は両親、兄、弟2人(双子)。左投げ左打ち。172センチ、79キロ。血液型O。