石巻工の主将でエース右腕の森勇樹(3年)が6回コールドながら、地区予選から3試合連続完封でチームを8強に導いた。

 被安打は3。得点圏に3度走者を背負ったが踏ん張った。「要所要所で低めに集めることができた」と胸を張り、自己最速を2キロ更新する138キロを計測した。6日の多賀城との東部地区予選第7代表決定戦で延長11回を完封。21日の県大会1回戦は実力校・古川学園を、この日は宮城農と計26イニング得点を与えていない。

 春先は速球にこだわり、走者を置いては、むきになって失点を重ねた。東部地区予選中に利根川直弥監督(45)、捕手の阿部太一(3年)と3人で打開策を話し合い、緩急を使う投球を強く意識した。外へスライダーなどの変化球、内へ速球と内外角もうまく使い分けた。

 4月からチームを率いる利根川監督は「4月当初に見た時なら崩れていた」と言い「だいぶ緩急を使えるようになった。成長してくれた」と高く評価した。

 21世紀枠で12年センバツに出場経験がある石巻工は、東部地区最後の県大会切符をつかんでの成り上がり。8強入りで05年以来12年ぶりに夏のシード権を獲得した。27日の準々決勝では王者・仙台育英と対戦する。一躍、宮城の好投手になった森は「自分のストレートがどれだけ通用するのか。第7代表なので、失うものはありません」と無欲だ。