石田伝説再び!? 東筑(福岡)が、21年ぶりの夏の甲子園に王手をかけた。過去5度ある、夏の甲子園出場のうち、3度は「エース石田」で達成。そして、今夏のエースも石田旭昇投手(2年)。4代目とばかりに、横手投げ右腕は、10安打を浴びながら3失点(自責1)で完投勝利。伝説もバックに? 春県準Vの西日本短大付を抑えた。

 最後の打者をこん身の力で三ゴロに打ち取り、両手を天に突き上げた。127球での完投勝利。ミラクル快進撃に、まるで優勝したかのように歓喜の輪ができ、興奮したナインはスタンドのあいさつ後もベンチで「(福岡大大濠のエース三浦)銀二を絶対倒すぞー」と絶叫した。

 東筑の石田姓といえば…72年は右横手でスライダーが決め球の石田義幸。78年は右横手でシュートが得意な石田大介、96年は右上手投げの石田泰隆で乗り込んだ。石田旭昇はその事実を入学後に周囲から「エース石田の時は強い」と伝え聞いた。それだけに「周囲の声援が大きいのでその思いもあり、絶対甲子園に行きたい」と闘志を燃やす。

 期待に応えるためタイヤ押しやポール間走20往復の走り込みなどで鍛え、球速は入学時の127キロから139キロにアップした。コースを丁寧に突く投球で5月下旬の招待試合でセンバツ出場校の日大三を完封した。夏も5回戦で春の県王者の九産大九州、準々決勝で春夏5度の甲子園出場を誇る福岡工大城東を撃破するなど大車輪の活躍を見せた。青野浩彦監督(57)が「まさかの出来事。ビックリしている」と驚く成長ぶりだ。

 福岡では公立校の夏の甲子園出場も、同校が96年に出場したのが最後。石田は「エース三浦投手やプロ注目打者がいるので挑戦者の気持ちで臨みたい。勝負が楽しみです」。今日28日の決勝に思いをはせた。【菊川光一】

 ◆石田旭昇(いしだ・あきのり)2000年(平12)7月31日、福岡県鞍手町出身。野球は小2から軟式の鞍手ベアーズで投手として始める。鞍手中では軟式野球部に所属。東筑進学後、上手投げから横手投げに転向。1年秋からベンチ入りし5月の日大三との招待試合からエース。球種は直球、シュート、スライダー、ツーシーム、チェンジアップ。173センチ、67キロ。右投げ右打ち。