伝統校・東筑(福岡)がまさかのミスに泣き、センバツ初勝利はならなかった。記念大会で例年よりも4校多い36校が参加して開幕。開会式直後の「開幕試合」に登場。同点で迎えた9回に守備の乱れなどで2失点して涙をのんだ。

 昨夏のリベンジを狙ったエース石田旭昇(あきのり)投手(3年)はまたも勝利できず。2度の初戦敗退の屈辱を胸に最後の夏に挑む。国学院栃木と明秀学園日立(茨城)が初戦を突破した。

 最後の最後で、まさかのミスだった。同点で迎えた9回1死一塁。三塁前に転がったバントを処理した藤原が一塁に悪送球した。1死二、三塁とピンチが広がり、セーフティースクイズを決められ、バントを処理した二塁手の田中がまたも一塁に悪送球して2失点。互いに譲らない接戦の展開も悪夢の結末となった。青野浩彦監督(57)は「要所で打てなくて、勝負どころで守れなかった」と唇をかんだ。

 5失点ながら自責1のエース石田は自らを責めた。「最後は自分も含めて、チームとして詰めの甘さがでた。序盤は球が高めに浮いて狙われた」と1、2回に失点したことを悔やんだ。自分の失策もあり失点を重ねたことに「野球の神様はまだ自分に勝たせてくれない」と涙を必死にこらえた。昨夏、開幕日に先発も雨などもあり10失点に泣いた。リベンジに臨んだセンバツも、勝利できなかった。「左打者をいかに抑えるか。もっと緩急をつける投球ができるようにならないと、全国では通用しない」。最後の夏に気持ちを切り替えた。

 不運も重なった。青野監督は「雨でグラウンドでの練習ができず守備には不安があった」とこの日を迎えていた。さらに田中二塁手はインフルエンザでチーム合流が遅れた。「いかに守って失点を防ぐかに尽きるのに…。悔しい」と青野監督。自己最速となる140キロもマークしたエース石田は誓った。「中盤は打たせて取る投球ができた。この生命線は変えずに、夏にまた戻ってきたい」。今夏は100回大会で福岡は2校が出場する。最後の夏こそ、甲子園での勝利を勝ち取る。【浦田由紀夫】