中指血マメは佐々木朗希にとって初 使用球が影響か

右手にタオルを握りしめストレッチを行う佐々木(撮影・河田真司)

高校日本代表としてU18W杯(30日開幕、韓国・機張)に出場する大船渡・佐々木朗希投手(3年)の世界デビューが27日、白紙となった。

26日の大学日本代表戦(神宮)で右手中指の血マメ悪化を懸念し、1回で降板。当面はノースロー調整する方針が決まった。28日に渡韓するが、投球再開時期は未定。米国、台湾など5チームと戦う1次ラウンド(30日~9月3日)が迫るが、剛腕の登板は微妙な状況だ。

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佐々木は普段と変わらない表情で、星稜・奥川とポール間を走って調整した。違うのは、右手中指の指先を覆うテープ。150キロ台の速球を連発した大学日本代表戦のマウンドでは、何も巻かれていなかった。血マメができていた。

前夜の試合後には血マメについて言葉を濁していたが、この日は「大したことないです」と存在を認めた。「投げている分には違和感はありません」と軽症を強調した。ボールには触れず、マッサージやポール間走などで約2時間半の国内合宿を打ち上げた。

中指にマメができたのは初めてだという。複数の関係者の話を総合すると、7月25日に岩手大会決勝で敗退後、休む間もなく練習を再開。「世界一になりたい」と願っていたこともあり、合宿直前にはW杯使用球も試投。その時点でマメの兆候が表れていた。

W杯での国際球のメーカーの球は、夏の岩手大会の試合球では使われない。佐々木も慣れない球でマメができた可能性がある。プロ野球スカウトからは「佐々木君がどうかは分かりませんが、一般論で、投球後に親指の爪で中指をかいてマメを作る投手もいます」という声もあった。

佐々木の今後について、高校日本代表の平川敦投手コーチは「こういう状況なので、当面はノースロー調整になると思います」と話した。練習では平川コーチ、佐々木、奥川の3者面談も行われた。「血マメの回復具合は個人差もあるので」とキャッチボール再開時期には言及しなかった。

悲願の世界一へ、まずは1次ラウンドでグループBの6チーム中3位以内に入る必要がある。強敵の米国とは9月1日、台湾とは2日に試合を行う。個人差があるとはいえ、1週間以内に患部を完治させて全力投球は考えにくい。5日からの上位6カ国によるスーパーラウンド、8日の決勝(もしくは3位決定戦)に照準を合わせる可能性が高い。

佐々木は「このチームで力を合わせれば世界一も見えてくると思う」と前向きな姿勢だ。投球再開まで、仲間を信じて勝ち上がりを待つ。【金子真仁】