【ピオリア(米アリゾナ州)20日(日本時間21日)=四竈衛】イチロー、開幕スタメンへー。マリナーズのイチロー外野手(44)が、21日(同22日)のブルワーズ戦からオープン戦に復帰することになった。同日のブ軍戦は、開幕オーダーで戦う予定で、29日(同30日)にシアトルで行われるインディアンスとの今季開幕戦に「9番左翼」でのスタメンが確実となった。この日は休養日にもかかわらず、休日返上で自主練習。最終確認を繰り返した。

 チーム全体が完全休養日でも、イチローにすれば、いつもの練習日に過ぎなかった。午後1時過ぎに、キャンプ施設に姿を見せると、すぐにトレーニングウエアに着替え、グラウンドで独自練習を開始した。入念なストレッチ、キャッチボール、遠投などを終えると、スパイクを履いたまま、ランニングを開始。当初のゆったりとしたスピードから徐々にギアを上げ、7割程度のダッシュをこなし、体の状態を確認した。

 14日のジャイアンツ戦で右ふくらはぎを痛め、途中交代したとはいえ、イチローの心の中では、開幕戦からの「逆算」が、キッチリと出来上がっていた。故障発生直後は、歩行も困難で開幕が絶望視されるほどの状態だったが、特殊マシンのトレーニングなどで驚異的に回復。19日(同20日)にはマイナーの試合で11打席に立ち、10打数3安打1四球の結果を残すなど、順調な回復ぶりを見せていた。サービス監督が「復帰前に、100%かどうかを確認したい」と言う一方で、前日にマイナーの試合で実戦に復帰したイチロー自身が「本当はメイン(メジャー)のゲームが、もちろん」と話すなど、事実上のOKサインを出していた。

 ナイターで行われるブ軍戦には、故障離脱していたカノ、クルーズら主力組も復帰するなど、開幕戦の予想オーダーで戦う予定。イチローは「9番左翼」で出場することも内定した。

 今オフはFA(フリーエージェント)市場が例年になく停滞し、緊急移籍したイチローにすれば、約3週間遅れでキャンプインしたこともあり、調整遅れの感は否定できない。しかも、イチロー自身、どちらかといえばスロースターター。ただ、定位置が年間を通して保証されているわけでもなく、のんびり構えているわけにもいかない。開幕まで残り1週間。焦りこそ無用とはいえ、今後は、徐々に162試合を見据えた「本番モード」へ切り替えていくことになりそうだ。

 ◆イチローの開幕戦 最後に先発出場したのはヤンキース時代の13年。開幕戦の通算打率は3割4分で、18安打すべてが単打。シーズン最多262安打を記録した04年は1安打。10年連続200安打を記録した01~10年では9試合で11安打を放っている。

 ◆日本では 44歳以上の開幕戦出場は56年岩本義行(東映=44歳0カ月)と98年落合博満(日本ハム=44歳3カ月)の2人だけ。ともにスタメンで、岩本は3月21日、毎日戦に4番右翼で4打数無安打。落合は4月4日、西武戦に4番一塁で左安、中安、死球、中2、遊ゴの4打数3安打だった。

 ◆40代野手の開幕戦先発 04年にロッテなどでもプレーしたフランコ(ブレーブス)がメッツ戦に45歳7カ月で「6番一塁」で出場。85年には、メジャー通算最多安打記録を持つローズ(レッズ)が44歳を迎える6日前に「2番一塁」でエクスポズ戦に先発。2安打3打点と活躍した。