西武秋山、年内移籍決着も レッズ形勢逆転の背景

西武秋山翔吾

西武から海外FA(フリーエージェント)権を行使した秋山翔吾外野手(31)の移籍先として、レッズが最有力候補に浮上したことが分かった。複数の米球界関係者によると、カブス、ダイヤモンドバックス、レイズを加えた4球団が争奪戦を繰り広げる中、レッズは2年以上の好条件を提示するなど、強烈にプッシュ。早ければ、年内にもレッズ入りが決まる可能性が高まった。

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FA宣言以来、その動向が注目された秋山の着地点がようやく見え始めた。当初は、ダ軍、カ軍の2球団がリードする形で下交渉がスタートした一方、レッズが猛アタックを開始。他球団が静観する中、2年以上の大型契約を含む金銭面での見直しをはじめ、誠意を尽くす形で折衝を進め、形勢を逆転したとみられる。

12月上旬に米サンディエゴで行われたウインターミーティングで、4球団と直接交渉を行った時点では、明確な方向性は見えていなかった。だが、その後の約2週間の期間で各チームの事情が変わった。カ軍は外野手のトレードが進まず、ダ軍は右翼手カルフーンをFAで獲得。資金面でも劇的な上積みができず、本気モードで折衝を続けてきたレッズが一気に浮上した。

過去、全30球団で唯一、日本人メジャーの在籍経験のないレッズにとって、秋山は最上位にランクするターゲットだった。11月中旬の段階で、ニック・クロルGMは秋山の代理人ケーシー・クロース氏と折衝していることを明言。「攻撃力はもちろんだが、守備力もアップグレードさせる」と補強に積極的な姿勢を示していた。特に、外野では中堅手に狙いを定めており、秋山については入念に調査を進めてきた。「他の選手と同じようにコンタクトは取っている」と走攻守の3拍子がそろった秋山への興味を隠さなかった。

イチロー、佐々木らがメジャー入りした00年前後、レッズはアジア地区のスカウトが不在で、日本人市場では出遅れていた。だが、近年は専属スカウトによる徹底調査を進め、グローバル化に力を注いできた。「アジアだけでなく、国際的な市場には目を向けている」(同GM)。秋山獲得は第1歩だ。1869年、米国初のプロチームが発足したのがシンシナティ。歴史的な街を本拠地とする日本人初のメジャーリーガーが、来季、誕生する可能性が高くなってきた。