<ア地区シリーズ:エンゼルス2-3ロイヤルズ>◇2日(日本時間3日)◇第1戦◇エンゼルスタジアム

 地区シリーズが開幕し、ア・リーグではロイヤルズ(ワイルドカード1位)が青木宣親外野手(32)の好守もあって、敵地でエンゼルス(西地区1位)に先勝した。2-2の延長11回にソロ弾で勝ち越し、両リーグ最高勝率の難敵を撃破。「2番右翼」で先発した青木は1回の第1打席でプレーオフ初安打。また2度のスーパーキャッチで危機を救い、勝利に貢献した。

 ロイヤルズ青木が美技で敵地を黙らせた。2-2の同点で迎えた6回2死一、二塁。エ軍の4番ケンドリックが放った右中間への大飛球を追い、フェンス際でジャンプした中堅ケーンを交錯寸前でかわし、差し出したグラブに打球が飛び込んだ。捕球した青木も驚きの表情を浮かべると、スタンドから大きなため息。「(捕ったというより)入ったと言った方がいい」と気分を良くし、続く7回にも再びビッグプレーが生まれた。

 7回2死三塁、エ軍クローンの打球は、青木から逃げるかのように右翼ポール付近の方に大きく曲がった。マウンド上のデービスが「二塁打になると思った」という一打を、倒れ込みながらダイビングキャッチ。ブーイングを浴びながら「ヤジってたから、どうだヅラしておきました」と、客席にドヤ顔で応じた。

 ファインプレーはいずれも打球が抜ければ勝ち越し点を許す場面で飛び出した。ヨースト監督が「試合を救ってくれた」と言えば、敵将ソーシア監督も「ケーンとアオキの素晴らしい守備に勝利をさらわれた」と脱帽した。青木は試合直後のNHKのインタビューで「(守備は風の強い)千葉マリンの方が難しい。経験している打球だった」と振り返り、「今日は守備の日。守備で貢献できた」と満足した。

 打撃では、第1打席にリーグ最多勝右腕ウィーバーから中前打。プレーオフ2戦目で初安打を記録した。一塁上では3度目のけん制で刺されたが、「あれはギャンブルのサインだったから、アウトでも仕方がない。チームが出したサイン」と明かした。敵地という不利な条件で挙げた1勝は大きな意味を持つ。「カンザスのファンの方が熱いね。この声援より全然すごかった」。地元で待つファンの元に、2連勝という手土産を持って帰るつもりだ。【佐藤直子通信員】

 ▼ロイヤルズがワイルドカードゲームに続き、地区シリーズ初戦も延長戦で勝利。ポストシーズンで最初の2戦を延長で制したのは、69年オリオールズ、79年パイレーツに続くメジャー史上3度目。

 ▼ロイヤルズの9番ムスタカスが延長11回に決勝弾。ポストシーズンの延長で先発9番の打者が同弾を放ったのはメジャー史上初。