藤浪で大混戦を制する。今日15日の中日戦に先発する阪神藤浪晋太郎投手(21)の次々回登板は、戦況に応じてカードが定まることになった。18日からの12連戦中に投じる相手はヤクルトか巨人か。優勝を争うライバルを直接たたく大役を託された。

 藤浪に「上位つぶし」が任される。今日15日中日戦に先発した後、次々回の登板は21日ヤクルト戦(甲子園)か22日巨人戦(東京ドーム)が浮上。現在首位のヤクルト、3位巨人の戦況を見守り、上位にきたチーム相手にぶつける流動的なローテーションが組まれた。嵐の前の静けさ、のごとく、さわやかな秋晴れの甲子園で、藤浪は着々と準備を進めた。

 「プレッシャーというのはない。できることは限られているので。(味方の)点が入る、入らないは時の運だと思うので、限りなくゼロに近い投球をしたい」

 必然的に、エース級の投手とぶつかる可能性も高くなる。その展開にも藤浪は冷静に語った。各チーム、残り20試合を切ったシーズン終盤でも、4位広島まで3ゲーム差という大混戦。この状況を抜け出すために、最多勝を争うまでに成長した21歳右腕に命運を託すことになった。

 チームは1分けを挟んで3連敗を喫し、2位に転落。負けられない現状に、言葉に力も入った。

 「勝ちたいですし、大事な試合。もう1試合も負けられる試合はないので、しっかり投げたいです。チームに勢いをつけられる投球がしたいです」

 まずは目の前の試合に一戦必勝だ。開幕カードの3月29日以来となる中日戦は、11勝を挙げる左腕大野と投げ合う。「ロースコアになると思う。粘り強く、状態のいい悪いはマウンドに上がってみないと分からないですけど、悪いなりに、あるいはいいなりに、投げたい」。チームの勝ち頭同士の投げ合いを制し、今季13勝目を目指す。

 開幕前から目標としていた180投球回まで残り9イニングで完投すれば達成される。「今シーズン、最初に挙げた目標でもありますし。9回完投はマウンドに上がれば誰しも目指すところ。1回でも長く、1人の打者でも多く投げたいと思っています」。そしてチームをV街道に引っ張っていくだけだ。【宮崎えり子】