中日吉見一起投手(31)が3日、右肘の手術を今月1日に受けていたことを明かした。今季悩まされた痛みの原因とみられる癒着した神経をはがす軽い手術で、6週間ほどでスローイング、年内には投球練習も再開できそうな見通しという。復活への手応えと、不完全燃焼に終わった今季のリベンジを期して、来季を万全の状態で迎える。

 大きな固定器具を右腕に巻いた吉見が、明るい表情で口を開いた。

 「去年からいろいろやってきて今年の開幕を迎えたけど、投げたら肘が張って、8試合しか投げられなかった。同じことの繰り返しだった。手術はしたくなかったけど、踏み込まないといけないと思った。いろいろな病院で意見を聞いて、決めました」

 投げることはできる。でも投げたら痛み、しびれが出る。間隔を空けて、違和感が抜けたらまた投げて…の繰り返しだった。4月1日の巨人戦に6回無失点で2年ぶり勝利。その後も登板間隔を空けながら8試合に投げたが、結局はローテに定着できなかった。5月30日の日本ハム戦でついに登板中に痛みが出た。本格的に戦線を離脱した。

 2年前に受けた右肘内側側副靱帯(じんたい)再建手術の影響が尾を引いていたようだ。痛みの原因を探る中で、神経が癒着して圧迫されていることが判明した。筋膜を開けて神経を正常に解放する「尺骨神経剥離(はくり)術」を1日に受け、この日退院したという。手術は約20分で終わった軽いものだった。

 「投げられるまで4~6週間。6週間くらいは我慢しようかと思う。キャンプに間に合うようにスケジュールを作っている」。順調なら年内にブルペン投球も再開できるという。

 8試合の成績は3勝無敗、防御率0・94。圧倒的な安定感を見せた。痛みさえなければ…。シーズンを通して悩みを抱えていたエースが、完全復活へ思い切って1歩踏み込んだ。【柏原誠】