「プレミア12」(8日開幕・日本、台湾)の日本代表に選ばれている中日平田良介外野手(27)が1日、チームでの調整を打ち上げた。独立リーグの四国ILplus選抜との練習試合(ナゴヤ球場)に「4番左翼」で先発し、3打数1安打。ソフトバンクの内川、柳田の両外野手が代表辞退となり、侍での責任は一気に増した。走攻守で高いレベルを誇る竜の主砲が、侍でもレギュラーを務める可能性が出てきた。

 緊張感は明らかに増していた。内川の辞退が発表されたのに続き、柳田の出場辞退も決定した。柳田は侍ジャパンの外野のレギュラーが確実だった。空いた穴を埋める人材は-。平田はもちろん、人ごととは受け止めていなかった。

 「スタート(先発)でいくつもりでいます。ライト、レフトどちらもいける準備はしてきた。(辞退を聞いて)出場機会は増えるんじゃないかな、と思いました」。代表の重みを今まで以上に感じていることを素直に明かした。

 侍ジャパンの外野手は平田のほかDeNA筒香、西武秋山と追加招集のソフトバンク中村晃の4人だけ。今季成績は打率2割8分3厘、13本塁打、53打点、11盗塁。139安打はキャリアハイと充実した1年を過ごしたが、それでも数字では劣る。だが走塁技術や、着実で素早い身のこなしの守備は一級品。状況に応じた打撃も得意だ。地味でも、チームに貢献できる選手だからこそ最終選考に残った。

 「いいところで打って、守るところでしっかり守って、勝ちに貢献したい」と力を込めた。この日の練習試合では「狙い球を一発で仕留める」ことを主眼に置き、1打席目で直球を右中間にはじき返した。

 WBCや五輪予選に出場経験のある谷繁監督も背中を押す。「ベンチにいても試合に出ても、全日本メンバーと動くだけで感じるものがある。平田の野球人生に取り入れてくれたらいい。日の丸の緊張感を味わえるのは一握り。それを感じて帰ってきてほしい」。個人のさらなる飛躍と、チームへの還元も期待した。試合後、合宿所の監督室を訪れてきた平田に「がんばってこい」と伝えた。

 平田はウエート室で約15人の選手・スタッフに拍手で送られた。「すごくうれしかった。みんなライバル同士だけど、本気で応援してくれている。後輩たちの気持ちも、チームも、全部背負って世界大会で暴れてきたい」。大きな責任感とともに平田がJAPANのピンストライプに身を包む。【柏原誠】