また1人、首位打者候補が!! 阪神の新外国人マット・ヘイグ内野手(30=ブルージェイズ)が29日、甲子園室内でフリー打撃を行い、巧打者ぶりを発揮した。トーマス・オマリー打撃コーチ補佐(55)は選球やスイング軌道を見て「ローズやパチョレック、マートン」になぞらえた。3者に加え、同コーチ補佐も首位打者を獲得。ヘイグの理想型が見えてきた。

 雨音がたたく密室の室内練習場は、激アツのデモンストレーションだった。ヘイグが中井打撃投手を相手に黙々とバットを振る。乾いた打球音がネットに突き刺さる。球を鋭くとらえ、そして、的確に見送る。70スイング近いフリー打撃は“本物”を予感させる、密度の濃さがあった。

 報道陣をシャットアウトした打撃練習だったが、チェックしたオマリー打撃コーチ補佐が実力の片りんを明かす。甲子園の寒さを吹き飛ばす熱弁だ。「選球眼がいい。(スイングの)インサイドアウトができている。たくさん四球を選びそう。センスがいい。バットコントロールもいいし、ナイスだよ」。93年に首位打者に輝いたかつての助っ人が、初チェックでいきなり絶賛の嵐だ。

 まだベールに包まれるが、同コーチの評価からプンプンにおうのはヘイグが「アベレージ型打者」という点だ。メジャーでは通算43試合で打率2割2分6厘にとどまるが、昨季、3Aバファローでは136試合で高打率の3割3分8厘をマーク。ダントツの首位打者に輝いた。同コーチ補佐は「日本で活躍するには、変化球をセンターからライトに打つことだ。プルヒッターは危ないね」と話し、ヘイグに似たタイプの打者を挙げていく。

 「ロバート・ローズ、パチョレック。右打者はライト、センターよ。マートンもね」。いずれも同じ右打者で首位打者を獲得している。長身のパチョレックは大洋時代の90年に戴冠。パンチ力を備えたローズは99年に猛威を振るった。そして、言わずと知れたマートンになぞらえた。昨季、爆発的に打ったヘイグは安打量産タイプの「首位打者助っ人」として期待される。

 ヘイグは26日に来日後、甲子園で2日連続の自主トレ。この日は守備練習も実施した。「とても興奮している。早く野球がしたいよ」と話していたが、意欲的に動き、異国でのチャレンジに備えている。同コーチ補佐は「1年目は難しい。毎日が勉強だよ。いいスタートを切るのが重要さ」と強調する。本性を現すのは本番でいい。あのオマリーが褒めちぎる、ウワサのアイツはどれだけすごいのか。まだまだ、ちょっとだけよのチラ見せで、周囲の期待感をくすぐっていく。【酒井俊作】

 ◆マット・ヘイグ 1985年8月20日、米ワシントン州生まれ。オクラホマ州立大を経て、08年9巡目でパイレーツと契約。12年にメジャーデビュー。マイナーも含め通算で一塁を731試合、三塁を277試合、14年にはパイレーツ3Aで右翼を1試合守った。昨季はブルージェイズ3Aで136試合に出場。打率3割3分8厘、11本塁打、92打点をマークし、インターナショナルリーグMVP。191センチ、102キロ。右投げ右打ち。