ピンチはチャンス-。広島戸田隆矢投手(22)ら4投手が9日、マツダスタジアムの屋内練習場で調整を行った。黒田博樹投手(41)ら先発投手の相次ぐ離脱により、今日10日からの6連戦は戸田ら若手投手が起用される。チームにとって危機的状況も、先発枠を狙う若手にとっては格好のアピールの場。苦境を打破する活躍に期待だ。

 先発練習の顔ぶれが変わった。開幕ローテのジョンソンと野村とともに、九里と戸田が、キャッチボールやショートダッシュで汗を流した。出場選手登録を抹消された福井まで、DeNA3連戦で先発した3投手が相次いで戦列を離れた。チームの非常事態も、先発枠を狙う若手にとってはチャンスでもある。

 戸田 打者1人1人、やることは変わらない。やっぱりこの世界は先発が評価される。先発で勝負したい思いは強い。

 先発へのこだわりが強い。前回先発白星の昨季5月8日阪神戦も、黒田離脱で巡ってきたものだった。チーム事情から中継ぎで登板機会を増やし、今季5試合もすべてリリーフ。「いろいろな場面で投げさせてもらった経験と自信を先発マウンドにつなげたい」。ステップアップのチャンスと捉えている。

 今日10日からのヤクルト3連戦はジョンソン、野村、九里と続く。今季2度目の先発となる九里は、1月の米国自主トレで助言をもらった黒田の離脱に決意を新たにした。「黒田さんに教えてもらったことが今、生きている。昇格後も話をさせてもらった。勝つことが恩返しになると思う」。14年4月19日DeNA戦以来の先発星を目指す。

 週末の中日3連戦は先発3勝の戸田の後に、プロ0勝の新人岡田、13年1勝の中村恭が続くとみられる。4月28日ヤクルト戦で1アウトしか取れず2軍で中継ぎ調整していた岡田は前日8日、急きょ3イニング登板。緊急招集となった。

 好スタートの流れを継続できるかどうか。6連戦は今後の戦いを左右する。小林投手コーチは「昨年よりもいい戦いができているので、あとは投手陣が頑張れば勝ちを拾っていける。投手陣の力で戦っていきたい」。若い力を結集して、難局を乗り切りたい。【前原淳】

 ◆戸田隆矢(とだ・たかや)1993年(平5)6月10日、兵庫出身。樟南から11年ドラフト3位で入団。12年9月12日巨人戦でデビュー。通算8勝7敗。181センチ、72キロ。左投げ左打ち。

 ◆岡田明丈(おかだ・あきたけ)1993年(平5)10月18日、東京出身。大商大高-大商大。15年ドラフト1位。これまで2度先発し0勝1敗。185センチ、80キロ。右投げ左打ち。

 ◆中村恭平(なかむら・きょうへい)1989年(平元)3月22日、福岡県出身。立正大淞南-富士大。10年ドラフト2位。通算1勝8敗。185センチ、82キロ。左投げ左打ち。