ソフトバンク東浜巨投手(25)が、エースキラーぶりを発揮した。楽天則本、ロッテ涌井、広島黒田らエースに投げ勝ってきた4年目右腕は巨人菅野智之投手(26)とも堂々と投げ合い、7回途中1失点。東浜に勝ち星はつかなかったが、8回1死満塁から鶴岡慎也捕手(35)が右翼に勝ち越し犠飛を放ち、チームは菅野に土をつけた。4連勝で2位ロッテに8・5ゲーム差。14日にもリーグ3連覇へのマジックが点灯する。

 セ・リーグNO・1のエース巨人菅野も打ち破った。試合前まで88回を投げてわずか8四球だった菅野から5四球を選び、プレッシャーをかけた。8回に1死満塁から鶴岡が決勝犠飛。4連勝でマジック点灯をぐっと近づける勝利の立役者は「エースキラー」東浜だった。

 7回途中まで4安打1失点。得意のシンカーがさえた。1回には好調坂本に内角へ投げ空振り三振。2回は無死一塁で5番阿部に外角低めへ投げ二ゴロ併殺。6回までは2安打無失点と完璧だった。

 「相手はNO・1投手。抜くことなく全員全力で行った。1点をもらってより引き締まった」。1学年先輩の菅野とは亜大時代に大学日本代表で一緒だった。試合で投げ合ったことはなく、初対決に気合十分だった。「(菅野さんは)すごい自分の意思で投げている。ピンチになればなるほど感情が出る」。5回1死満塁で4番内川に追い込んでから2球続けて外角低めにボール球で勝負する菅野の姿に、敵ながらしびれた。

 1点リードの7回、連打で無死一、二塁のピンチをつくると交代を告げられた。工藤監督は「(7回は)腕の振りが鈍っていたので思い切って代えた」と説明した。東浜は「菅野さんは最後まで。僕は7回途中。そこの差は大きい。疲れた状態でも投げ続けるのは僕には足りないところ。個人的には完全に負けですね」。楽天則本、ロッテ涌井、広島黒田、そして菅野と投げ合うことで、エースへの道のりを実感する。

 4年目で初の巨人戦登板。「心も体も大きく育つように」という意味を込めて命名された「巨(なお)」も、「親が巨人ファンで名付けられたのか? と何度言われたことか」と巨人の巨として認識されることが多いという。

 交流戦頂上決戦で成長した「東浜巨」の姿は全国のファンに届いたはずだ。気が付けば、早くも、マジック点灯の足音が聞こえてきた。【石橋隆雄】

 ▼ソフトバンク○、ロッテ●の結果、両チームは今季最大の8・5ゲーム差に開いた。ソフトバンクは早ければ14日にも優勝マジックが点灯する。ソフトバンクが11、12日巨人戦、14日ヤクルト戦に3連勝し、この間にロッテと西武が3連敗、日本ハムが2敗することを条件にM68が点灯する。2リーグ制後、最も早くマジックが出たのは65年南海で、7月6日にM62が点灯。6月中のM点灯はまだなく、ソフトバンクが最速点灯に挑戦する。