国内フリーエージェント(FA)権を取得したオリックス糸井嘉男外野手(35)が、権利行使を検討していることが13日、分かった。オリックス残留も選択肢にあるものの、シーズン終了後に宣言すれば市場の目玉になり、争奪戦は必至の状況だ。糸井は開幕直後に権利を取得した際に「オフにどういう気持ちになっているか分からない」と話していた。だが、シーズン終盤を迎え、試合に集中しながらも、今後の身の振り方に熟考を重ねている状況だという。

 7月で35歳になったベテランだが、強い肉体と能力は衰えを知らない。今季はここまで全試合に出場。現時点で打率3割6厘を残し、すでに自身初の50盗塁もマークし、最年長での盗塁王へ突き進んでいる。

 糸井は年俸上位4位から10位のBランクとみられ、獲得した球団には人的補償が発生する。ただ、そのリスク覚悟で名乗り出る球団は複数出てきそうだ。オリックスの球団幹部も「ウチにとって絶対に必要な選手。引き留めないといけない」と話すなど、残留に全力を注ぐ方針を示している。

 この日、チームは日本ハムに敗れてCS進出が完全に消滅した。あらためてFA権について聞かれた糸井は「もう35歳やからね。1年でも長く(現役を)やりたいと思っているよ」と具体的には語らなかった。年齢からも来季の所属先で現役を終える可能性が高い。それだけに慎重に頭を整理しながら決断に向かうことになりそうだ。

 ◆糸井嘉男(いとい・よしお)1981年(昭56)7月31日、京都府生まれ。宮津-近大を経て03年ドラフト自由枠で日本ハム入団。投手として入団も、公式戦登板のないまま06年4月に外野手に転向。13年開幕前にオリックスへトレードで移籍。首位打者1度、最高出塁率3度、ベストナイン4度、ゴールデングラブ賞6度と、球界を代表する外野手に成長。今季年俸は2億8000万円(推定)。187センチ、88キロ。右投げ左打ち。