両打ちで新たなる境地を開拓する! 阪神大和外野手(28)がスイッチヒッターに挑戦する。金本監督と片岡打撃コーチの提案で今オフから着手。甲子園での秋季練習では室内で取り組んでいた左打ちを17日に屋外で初披露し、ライナー性の当たりを連発した。ゴールデングラブ賞を獲得した男が出場機会アップに「スイッチオン」だ。

 「え?」。誰もが思わず大和を2度見た。プロ入りから右打席に立ち続けた男が左でティー打撃に励む。フリー打撃も右打席で打ち終わった後、ちゅうちょなく左打席に構えた。

 「振り込むしかないです。ほぼ初めてだからイメージがないっす」

 フリー打撃は外野へライナー性の当たりを連発させた。金本監督をはじめコーチ陣も見守った。金本監督は「片岡コーチの発案でね。ダメもとでチャレンジしてみようと。スイングの強さ、速さはまだないけど、(平野)恵一あたりが教え込んでいけば。でも最後は自分がどうか、だけどね」と後押しした。

 首脳陣からの提案にためらいなく挑戦の意思を示し、秋季練習初日から室内で左打ちに取り組んだ。

 大和と言えば好守が武器。外野で14年ゴールデングラブ賞を獲得するなど、実績は十分だ。今季は二塁にも回り、5月15日DeNA戦で3番を務めるなど打撃も好調。それも長続きせず、スタメン出場の機会は減っていった。二塁は西岡、上本の中堅や強化指定選手候補のルーキー板山らが控える激戦区。得意の外野も、高山らとのポジション争いとなる。ライバルに勝つため、両打ち挑戦の提案を拒む理由はなかった。

 大和は左打ちの経験を「中学の時にちょっとだけですね。その当時は遠くに飛ばしたかったんで、遠くに飛ばなくてやめた。1カ月くらいですかね」と打ち明けた。プロ11年目の両打ち挑戦は、熱の入り方が違う。全体練習終了後、毎日のように室内にこもった。打撃投手相手に、時には1人でバットを振り続けた。来年で30歳を迎える。生き残りをかけて新たなる境地を開拓する。【山川智之】