あいさつ代わりの三振斬りだ! ヤクルトにドラフト2位指名された東京6大学選抜の明大・星知弥投手(4年=宇都宮工)が、来季からチームメートとなる山田哲人内野手(24)を空振り三振に仕留めた。チームは敗れたが2回を1安打2奪三振で無失点。来季の開幕1軍入りと新人王を誓った。ヤクルトは大引啓次内野手(32)の3ランなど15安打で12点を奪い、プロの意地を見せた。

 星は、真っ向勝負を決めていた。2回、先頭打者に2年連続トリプルスリーの4番山田を迎えた。「打たれてもいいから、逃げずに自信のあるストレートで勝負しようと思った」。直球を続け、カウント2-2からの5球目も直球だった。内寄りの147キロで空振り三振を奪った。右翼席のヤクルトファンからも歓声が上がった。「山田選手は日本を代表するバッターで雰囲気があった。三振を取れたのはうれしい」と喜んだ。

 自信を深めた。山田への4球目はシュート回転しながら真ん中付近に入ったが、打球はバックネット方向へ飛んだ。「抜けてしまった球だけど、ファウルを打たせることができた。直球は(プロでも)通用するかなと思った」。手応えをつかんでも、過信はしない。「山田選手も万全ではなかったと思う。皆さんのスイングが速くて怖かった。レベルの高さを感じました」。貴重な経験を、プロでの飛躍につなげるつもりだ。

 6大学選抜の誰よりも緊張した1日だった。試合前には、一塁側ベンチへあいさつに向かった。「明るく迎えてもらえてホッとした」。試合でも「来年から後ろを守っていただく方たち。ぶつけたくなかったです」。試合後の場内インタビューでは、ヤクルト真中監督に「(6大学選抜の)MVPは星君」と名前を挙げられ、恐縮しきりだった。

 星を含めて5人がプロ入りする6大学選抜の投手陣の中で唯一、ヤクルト打線を無失点に抑えた。12日には、大学野球生活を締めくくる明治神宮大会の初戦(対関大)が控える。「最後に日本一を取って、来年は開幕1軍と新人王が目標」。星は、神宮で輝き続ける。【鹿野雄太】